職務評価について (3)分類法

前回のブログでは、「職務評価」における4つの一般的な方法うち、1つ目として「序列法」を取り上げました。今回のブログでは、2つ目の方法である「分類法」について、具体的な実施方法とメリット・デメリットを解説していきます。
 
職務評価の一手法である「分類法」とは、「主要な職務に基づき、あらかじめ『職務レベル基準書』を作成しておき、各職務の内容を当該基準書に照らしてレベルを判定する方法」と定義できます。分類法の要となる『職務レベル基準書』では、職務のレベル区分とレベルごとの判定基準を設定しておきます。そして、自社内における一つ一つの職務について、それぞれの職務基準書の記載内容をこの『職務レベル基準書』に照らし合わせることで、各職務の価値・レベルを判定していくことになります。
例えば、「職務Aの職務記述書の記載内容を『職務レベル基準書』に照らすと、職務レベルは10になる」「職務Bの職務記述書の記載内容を基準書に照らすと、職務レベルは9になる」・・・といったイメージです。
この「分類法」については、単純に一つ一つの職務を『職務レベル基準書』に照らすことで評価していきますので、「要素分解しない」「絶対評価」のタイプに位置付けられます。
 
「分類法」の最大の特徴は、はじめに職務価値・レベルの判定基準となる『職務レベル基準書』を用意しておくという点です。これさえ作成しておけば、一つ一つの職務をこの基準書に照らしてレベル判定していくだけであり、4つの職務評価手法の中で最も実施の手間を要しないというメリットがあります。
一方、デメリットとしては、職務評価の結果が『職務レベル基準書』に強く依存することになるため、当該基準書の記載内容に偏りがあったり、もしくは抽象度が高かったりすると、適切な職務評価に至らないという点が挙げられます。
また、一つ一つの職務を『職務レベル基準書』に照らし合わせる際、どうしても既にある等級ランクや役職に引き摺られやすいというデメリットもあります。さらには、そもそも、『職務レベル基準書』自体が、作成段階で現行の等級基準書の定義内容・レベルに強く影響を受けてしまう、といった懸念も想定されます。その結果、結局は「職務評価をしたものの、社員の格付けが現行とあまり変わらない」という状況になりかねません。すなわち、「本当の意味で職務の価値や大きさ、難易度を評価できていない」可能性があるということです。
 
筆者の個人的な見解としては、この「分類法」で職務評価をすることについては、上記のようなデメリット・懸念が想定されるため、あまりお勧めしません。前回取り上げた「序列法」の方が、恣意的になりやすいという懸念はあるものの、それでもしっかりとした順位付けがなされるため、(分類法よりかは)職務評価としての実施の意味があると考えます。
 
次回(以降)のブログでは、3つ目の職務評価方法である「要素別比較法」について、具体的な解説を行いたいと思います。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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