部下の視点からみた、適切な1on1ミーティングの進め方

1on1ミーティングとは上司と部下が1対1で行う、対話形式の面談でのことです。1on1ミーティングをすることで、部下のモチベーションや仕事への意欲を高める効果が期待されています。特に近年では導入企業が66.7%に上るという調査データもあります。(出所:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「1on1ミーティング導入の実態調査」)

 

しかし、1on1ミーティングを導入したもののうまくいかずに悩んでいるという上司の方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 

私自身も部下の立場として前職を含め様々な上司のもと1on1ミーティングをされる立場を経験してきましたが、場合によってはかえってモチベーションの低下になった経験もありました。

 

上記の経験も踏まえ、悩んだことや困ったこと3点をあげるとともに、それぞれに対して解決策として有効だと感じた事例についてご紹介します。すぐに実践できる内容も多いかと思いますので、少しでも参考になれば幸いです。

 

①その日のお題に悩む

②気軽に質問ができない

③上司との業務上のトラブル時に1on1ミーティングに集中できない

 

①その日のお題に悩む

部下が話したい話題について話し、上司は聴き役に回るのが本来あるべき形だと言われています。とはいえ、「今日はなにを話したいの?」などと質問があまりに漠然としていると、部下の立場からは何を話せばいいかわからず困るということがあります。

 

これを解決するにためには、例えば、話すテーマの選択肢をあらかじめ用意することです。ある上司が実施しており私が有効だと感じた手法になりますが、具体的には「業務上の困りごと」「社内外の人間関係」「将来の人生設計・キャリアについて」などの大きな項目分けを行い、部下に選ばせる形を取っていました。このことで私は、自然と項目の優先順位をつけることができ、「話したかったことが話せた」という結果に繋がりました。

あるいは、毎回の面談終わりに次回のテーマを決めておくことも一案です。具体的には、最後の5分間は次回テーマについて話し合う時間を設けるなどの工夫を行います。予め次回面談の目的や内容を決めておくことで、お題に悩むことなく本題に入ることができ、なおかつ行き当たりばったりの1on1ミーティングを防ぐ効果もあります。

 

②気軽に質問できない

「何でも質問していいよ」と上司から伝えられたものの、自分がしたかった質問を切り出せなかったこともありました。というのも、「この質問は内容やレベルを踏まえて適切なのか?怒られないか?」という想いが非常に強かったことが理由です。

そう考える原因としては、上司のことをよく理解しておらず上司の考えや判断基準がわからないということがありました。

 

解決策として、上司の考えや思いを部下と共有することがポイントです。例えば、付き合いの浅い部下に関しては1on1ミーティングの中で意図的に上司の自己を行う時間を設けることが有効です。具体的には、仕事で大切にしている視点・スタンスや、上司の若手時代の経験を踏まえた今の若手に期待することなどです。上司側の自己開示によって、部下との距離感を縮め、部下が質問しやすい関係を築くことによって、部下の不安や悩みを把握して解消したり、部下のモチベーションを向上させたりするという本来の目的を果たすことに繋がります。

 

③上司との業務上のトラブル時に1on1ミーティングに集中できない

例えば、上司と一緒の案件がトラブルになっている際、相手に迷惑をかけているという負い目から、話したいことを話せずに中身の薄い1 on 1になったこともありました。

 

解決策としては、まず1on1ミーティングを実施する上でネックになる問題は先に解消をする、もしくは解決の目処を立てることが大切です。そのうえで実施タイミング(リスケ)を調整するようにしましょう。

 
 
1on1ミーティングがうまくいかない原因を部下の質問力不足、やる気がないなど部下に求めてしまいたいところではありますが、1on1ミーティングの進め方、普段の部下との関わりなどちょっとした工夫で改善できる部分が多々あることも事実です。1on1ミーティングをより有意義な時間にするためにも、できることから始めてみてはいかがでしょうか。

 

執筆者

長尾 拓実 
(人事戦略研究所 コンサルタント)

前職では、中小企業を中心とした採用支援事業に約3年間従事。
企業・求職者双方と接する中で、働き甲斐ある職場の実現において社員一人一人が活きる組織づくりが重要だと実感。
この経験を通じて「組織づくりを基軸に中小企業の成長に貢献したい」と想い新経営サービスに入社。
課題に対して粘り強く、企業の良さが活きるコンサルティングを心掛け日々活動している。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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