職務評価について (2)序列法

前回のブログでは、いわゆる「職務評価」について、その全体像を解説しました。改めて、この「職務評価」とは、「ジョブ(職務)のレベル・価値等を明らかにする」ための取り組み、になります。職務評価の概要や一般的な実施方法の種類・特徴については、前回のブログをご参照ください。
今回のブログからは、4つの一般的な職務評価の方法(序列法、分類法、要素別比較法、要素別点数法)について、それぞれの具体的な方法とメリット・デメリットを解説していきます。まず、今回のブログでは、1つめの職務評価方法として、「序列法」について取り上げます。

 
 
職務評価の一手法である「序列法」とは、「職務と職務を相互に比較していき、最終的に全ての職務の序列付け(順位付け)を行う方法」と定義できます。例えば、職務評価の対象となる職務(仕事)が自社内に50種類ある場合、「職務A」は全体の中でどの位置付けか、「職務B」は全体の中でどの位置付けか・・・という判定作業を、相互比較を通じて繰り返していくことで、最終的に全ての職務の順位付けを行います。
 
この「序列法」は、「要素分解しない」タイプになりますので、一つ一つの職務について、仕事のレベルや業務責任、社内外の価値などを“総合的”に評価します。職務の中身を複数の観点で評価する必要が無いので、「実施は簡単(手間がかからない)」「難しい知識等は不要」などの長所がありますが、逆に「ざっくりとした評価になる」「評価者の主観に左右されやすい」という短所があります。
 
また「相対評価」か「絶対評価」か、という観点ですが、序列法では職務を相互に比較することで序列付けを行いますので、当然に「相対評価」に該当します。
 
 

「序列法」については、職務評価の対象となる職務の数が多すぎると、相互に比較していくことに限界があるため、実際に行うのは難しいでしょう。過去の経験則に照らせば、職務の数が50程度までであれば、実現性や有意性は十分にあると考えます。
 
この「序列法」が一番向いている、マッチする会社というのは、「経営者」が自社における各職務の順位付けについて、ある程度の“答え”を持っている場合です。細かい判定基準に基づいて職務の評価を行うわけではないため、「誰が」職務のレベル・価値を評価するのか、という点が社員の納得性を確保する上で重要となります。そして、全社的な視点で職務の評価ができるのは、自ずから(中堅/中小企業の)経営陣や経営者、ということになります。
 
逆の見方をすると、例えばオーナー企業である中堅/中小企業の場合、次回以降で取り上げる絶対基準に基づく職務評価方法を採用したとしても、結局は最後に「経営トップ」の判断で職務の序列付けが変わってしまう可能性があります。客観性を重視して絶対基準の職務評価方法を採用したにもかかわらず、職務評価結果を最後にトップがひっくり返してしまうと、社員に対して説明がつかなくなってしまいます。
従って、そのような企業の場合には、最初からこの「序列法」を採用しておくことをお勧めします。

 
 
次回(以降)のブログでは、2つ目の職務評価方法で「分類法」について、具体的な解説を行いたいと思います。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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