自社独自の評価制度を作る

経営戦略や経営課題を反映する
人事評価の目的が、単に社員を評価・査定するだけでなく、社員に自社の経営戦略や経営課題を意識さえることであれば、 自ずと、評価の対象は、自社の経営戦略、経営課題にそったものになる。
 
ここで言う経営戦略、経営課題とは、単に財務的な数値を意識した、 『収益力を高めよう』とか『生産性を高めよう』とかではなく、 その会社の事業運営、もっと言うと、事業ドメインに関連したものである。
 
簡単な例を示すと、 製造業であれば、『下請け体質から脱却し、技術力・提案力の高い企画開発型メーカーに変革しよう。』 などがあるだろうし、卸売業であれば、『エンドユーザーとの距離を縮め、 販売代理業から購買代理業へと転換しよう。』などになるかもしれない。
  
他社の評価制度では機能しない
上記の経営戦略の事例は、非常に簡単なものであり、実際には各社がおかれた経営環境や持っている経営資源に応じて、 それぞれの取り組むべき課題、つまり経営戦略、課題は変わってくる。
 
そのため、経営戦略、課題を反映した評価制度を作ろうとすると、 自ずと、自社オリジナルの評価制度を作らなければならない。 そのため、例えば、他社で成功した人事制度の事例があったとしても、 その制度をそのまま自社に持ってきても成功することはないといえる。むしろ、失敗することになるであろう。
 
よく、『うちの会社には、そんなたいそうなものはいらない。 他社で成功した事例を教えてもらえればそれでよい。』という経営者がいるが、 そのような考え方では、人事制度改革は成功しないと言える。
 
経営状況に応じて、修正を加えていく
評価制度は、一旦、作成すれば、それで何十年も使用できるというものではない。 それは、評価制度が経営戦略や経営課題を反映しなければならないということからも当然のことである。
 
会社の経営戦略や経営課題は、常に変化しているわけであるから、評価制度もその変化に合わせて変えていかなければならない。
 
多くの企業で、毎年、年度計画や中期経営計画を作成していると思うが、 評価制度は、年度計画のように、毎年変更するものではない。それは、年度計画が変更になったからといって、 社員に求められる行動が、大きく変わることはないからである。
 
ただ、評価制度の内容も数年に1度は、マイナーチェンジをしていかなければ、その会社にあったものにならないであろう。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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