職務評価について (1)全体像

前回のブログでは、いわゆる「職務分析」について解説しました。ジョブ型(職務型)の人事制度の導入に向けては、一人ひとりの「ジョブ(職務)」について、その内容やレベル・価値等を明らかにすることが必要です。前回のブログで解説した「職務分析」とは、そのうちの前者、すなわち「ジョブ(職務)の“内容”を明らかにする」ための取り組みになります。

今回のブログからは、上記のうち後者に該当する「ジョブ(職務)のレベル・価値等を明らかにする」ための取り組みである「職務評価」について、数回に分けて解説していきます。おそらく、前回の職務分析よりも今回の職務評価の方が、日本企業や日本人にとってなじみが薄いのではないでしょうか。

 

「職務評価」とは、職務分析で明らかになった各職務の内容(=「職務記述書(ジョブディスクリプション)」の記載内容)に基づき、それぞれの職務が「どのような価値/レベル(大きさ・難易度)」であるかを測定・判定するものです。あくまでも、「職務(仕事)」自体が評価の対象であり、当該職務を担っている「人」の能力・実績等を評価するものではありません。

端的に言えば、仮に社内に50種類の職務がある場合、その50種類の職務について「序列付け」を行うことです。最も職務の価値やレベルが高い仕事、その次に高い仕事・・・という具合いです。この結果に基づいて、それぞれの職務が該当する「等級ランク」や「基本給(職務給)の水準」を決定するため、「ジョブ型(=職務・役割主義)」人事制度の中でも特に「職務主義」の人事制度を導入する場合、必要不可欠な実施プロセスになります。「職務分析と職務評価」が実施できなければ、職務等級や職務給の導入は本来的にはできない/すべきでない、と言っても過言ではありません。

 

この職務評価ですが、具体的な実施方法として、一般的に4つの方法があります。これらの方法は、弊社が考えたものではなく、世間一般的に整理/使用されている方法になります。

4つの職務評価方法の具体的な解説は次回以降のブログに譲りますが、本稿ではそれぞれの特徴を2つの観点で整理し解説します。まずは、各実施方法の大枠を理解していただければと思います。

 

一つ目の観点が「要素分解をするか/しないか」です。これは、職務の価値やレベルを測定する際の“基準”として、複数の評価項目を設定するか否か、ということです。まず、「要素分解しない」で職務評価を行う場合ですが、一つ一つの職務の“全体”を捉えてその価値やレベルを評価します。4つの評価方法のうち、「序列法」や「分類法」がこれに該当します。

一方、「要素分解する」で職務評価を行う場合、職務の価値/レベルを判定する際の基準項目をあらかじめ複数設定した上で、項目ごとの測定結果を総合評価することで、それぞれの職務の価値/レベルを判定します。具体的には、「要素別比較法」や「要素別点数法」がこれに該当します。

 

職務評価の実施方法を大別する際の2つ目の観点は、「相対評価」か「絶対評価」かです。これについては、一つ目の観点よりもイメージがつきやすいのではないでしょうか。一つ一つの職務の価値/レベルを測定するにあたり、「相対評価」の場合には、職務と職務を相互に比較しながら序列付けを行います。一方の「絶対評価」の場合は、それぞれの職務を何かしらの絶対基準(評価指標)に照らして評価し、その結果に基づき職務価値/レベルを評価します。

具体的には、「相対評価」に該当するのが「序列法」、「絶対評価」に該当するのが「分類法、要素別比較法、要素別点数法」になります。

 

次回(以降)のブログでは、上記で取り上げた4つの職務評価の方法(序列法、分類法、要素別比較法、要素別点数法)について、具体的な解説を行いたいと思います。

執筆者

岩下 広文 
(人事戦略研究所 上席コンサルタント)

大阪市立大学を卒業後、国内事業会社において人事・総務等の実務に従事。その後、人事アウトソーシング会社、及び、外資系大手コンサルティングファーム(※監査法人系)にて人事コンサルティング業務に従事した後、現職。
人事コンサルティング歴は10年以上にわたっており、人事評価・賃金制度構築や退職金制度設計だけでなく、組織・人事面における幅広いテーマでのコンサルティング経験を有する。
また、過去に担当したクライアントの規模も、中堅・中小企業から数千名の大手上場企業までと、非常に多岐にわたっている。
実務経験を活かした、きめ細やかな制度設計に定評がある。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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