評価傾向への対策
人事考課(人事評価)
評価傾向への対策
前回、評価傾向について述べたが、管理者(評価者)は、そういった評価傾向を極力、排除して部下を評価しなければならない。そうでなければ、偏った評価になってしまい、処遇への反映ができなくなる。
そこで、それぞれの評価傾向を是正する(傾向を少なくする)うえでの留意点について述べる。
それぞれの評価傾向を是正するための観点
①ハロー効果
・評価項目ごとに、何に着目して評価するのかを確かめながら評価する。
・日常の職務内容を良く観察し、事実に基づいた評価を行なう
②寛大化傾向
・実際よりも甘い評価は、長い目で見て部下にとってプラスにならないということを認識する。
・評価の基準が低すぎないかを常にチェックする。
③厳格化傾向
・部下の行動や取り組みの事実を踏まえて評価する。
・評価の基準が厳しすぎることがないかを常にチェックする。
④中心化傾向
・部下とオープンな人間関係を築き、忌憚のない意見を言い合える間柄になっておく。
・評価項目ごとの着眼点と基準を再確認する。
⑤論理誤差
・評価項目ごとに、何に着目して評価するのかを確かめながら評価する。
・単なる印象や憶測を排除して評価する。
⑥対比誤差
・自分を基準に置かず、評価項目の定義や基準に従う。
・部下一人一人を、みな違った個人として認め、評価する。
⑦近接誤差
・その時その時の事柄を普段からしっかりと記録しておく。
・評価対象期間の原則をしっかりと守る。
⑧逆算化傾向
・評価項目ごとに、何に着目して評価するのかを確かめながら評価する。
部下を評価するうえでの留意点
それぞれの評価傾向に対する留意点は、上記のようなものになる。ただ全般的に言うと、部下を評価するにあたっては、部下の行動や取り組みの事実をきっちりと把握するということが一番大切である。これは単に部下を評価するということだけでなく、部下を指導育成するという意味でも重要になってくる。ただ、この部下をきっちりと把握するということができていない上司(評価者)が多い。その結果として、あいまいで納得性の低い評価になってしまう。
もう一つは、部下に求める基準を明確にしておくということである。つまり、部下の等級に応じた期待レベルや求められる職務内容を全社的に統一し、上司(評価者)がそれを的確に理解しているということである。
評価者の性格や立場によって、評価にブレが発生するのはある程度やむを得ないが、それを少なくし、評価に対する部下の納得性を高めるためには、上司(評価者)が部下に求める基準を把握し、かつ、部下の行動や取り組みを正確に把握するということが重要である。
◆関連リンク
人事考課(人事評価)制度改革7つのポイント
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。