職務評価について (4)要素別比較法

「職務評価」とは、職務分析で明らかになった各職務の内容(=「職務記述書(ジョブディスクリプション)」の記載内容)に基づき、それぞれの職務が「どのような価値/レベル(大きさ・難易度)」であるかを測定・判定するものです。あくまでも、「職務(仕事)」自体が評価の対象であり、当該職務を担っている「人」の能力・実績等を評価するものではありません。
 
前回のブログでは、「職務評価」における4つの一般的な方法のうち、2つ目として「分類法」を取り上げました。今回のブログでは、3つ目の方法である「要素別比較法」について、具体的な実施方法とメリット・デメリットを解説していきます。
 
職務評価の3つ目の方法である「要素別比較法」とは、その名称の通り、職務の価値/レベルを評価する観点をあらかじめ「複数の要素(評価項目)」に分けた上で、“それぞれの評価項目ごとに”レベル判定を行う方法です。
 

要素別比較法

 
例えば、上図の事例では、職務の価値を測定/判定する要素(評価項目)として、「管理スパン(管理対象範囲の大きさ)」や「組織貢献度」「社内での折衝・調整」・・・など複数の項目を設定しています。この複数の評価項目ごとに、この事例では5段階のレベル判定を行っています。レベル5に近づくほど評価が高い、ということになります。
具体的には、仮に職務Aが管理部門の部長職であるとした場合、「『管理スパン』は広いので、最も評価が高いレベル5」「『社外の折衝・調整』については、管理部門長であり対外的な折衝はそこまで多くはないのでレベル3」・・・といったように、職務レベルの評価を行います。
その後、それぞれの職務についてレベル判定をした結果に基づき、総合的な評価として職務価値/レベルの判定を行います。例えば、総合評価を10段階(1~10のレベル)で行う場合、「職務Aについてはレベル5の項目が5個、レベル4の項目が3個、レベル3の項目が2個」なので、「職務Aの総合評価は『10段階中レベル9』」・・・といった具合です。
 
この「要素別比較法」の最大の特徴は、職務レベルの判定要素を“複数の観点”に分けている、という点です。従って、タイプとしては「要素分解する」に該当します。前回までの「序列法」や「分類法」では、一つ一つの職務をそのままダイレクトに評価する手法(=要素分解しない)でしたので、この点で大きく異なります。
また、評価項目ごとのレベル判定については、あらかじめ基準を設定しておき、それに基づいて評価を行うので、「絶対評価」になります。
 
「要素別比較法」のメリットは、複数の観点で多面的に職務の価値/難易度を評価するため、序列法や分類法よりも客観性が高まる、という点です。もう一つは、次回のブログで紹介する要素別点数法と比べると、最終的な総合評価の際に、良い意味で“遊び”の部分があるという点です。要素(評価項目)ごとのレベル判定の結果で“デジタルに”総合評価を算出しようとすると、かえって実態と乖離した結果になってしまうことがあります。しかしながら、最終的な総合評価の部分に「判断の余地」を設けておくことにより、良い意味で調整ができるという点が、次回の要素別点数法と比べた場合のメリットになります。
逆にデメリットは、前回までに紹介した序列法や分類法と比べると、要素ごとに評価を行うため手間がかかるという点です。これは、次回の要素別点数法も同じです。もう一つのデメリットは、要素別点数法と比べると、最終調整しやすい反面、客観性が弱まるおそれがある、という点になります。
 
次回(以降)のブログでは、4つ目の職務評価方法である「要素別点数法」について、具体的な解説を行いたいと思います。

執筆者

岩下 広文 
(人事戦略研究所 上席コンサルタント)

1999年大学卒業後、国内事業会社において人事・総務等の実務に従事。その後、人事アウトソーシング会社、及び外資系大手コンサルティングファーム(※監査法人系)にて人事コンサルティング業務に従事した後、現職。
人事コンサルティング歴は20年以上にわたっており、人事制度構築や退職金制度設計だけでなく、組織・人事面における多様なテーマでのコンサルティング経験を有する。
また、過去に担当したクライアントの規模も、中堅・中小企業から数千名の大手上場企業までと、広範にわたっている。
きめ細やかな制度設計と顧客の実状を踏まえた提案・助言に定評がある。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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