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年次評価の考え方を変える

2020年11月10日 カテゴリ:教育・能力開発

執筆者:川北 智奈美

人事戦略研究所 シニアコンサルタント

飲食・ホテル業界での経験を活かし、現場のモチベーションをテーマにした組織開発を中心にコンサルティング活動を展開中。トップと現場の一体化を実現するためのビジョンマネジメント、現場のやる気を高める人事・賃金システム構築など、「現場の活性化」に主眼をおいた組織改革を行っている。特に「サービスは心から」をテーマに現場スタッフのサービスマインドを高める教育システム構築に力を入れている。 ICF(国際コーチ連盟)認定プロフェッショナルコーチ

給与決定要素を考えるとき、選択肢は様々ありますが、今の日本の中小企業では能力給がまだまだ主流となっています。
何らかの能力評価を行い、それに応じて毎年の昇給額を決定する、というものです。
そのような能力給を採用されている企業から、よくご相談を受けるのが「評価者の評価力に問題がある」という点です。「評価の目線があっていない」「フィードバックの際に評価結果をきちんと説明し、目標設定の助力ができてない」といったものです。

この場合、評価者研修などを行い、評価力や面談力の強化を目指す、というのが一般的な考え方です。人事評価のひとつの目的である「人材育成」ということを主眼に考えれば、当然上司が力量不足であれば、レベルアップを図る必要があります。また人事評価制度の運用を通じて、管理者の部下育成力の向上を図ることも企業にとっての重要な「人材育成」のひとつだからです。

一方で、定性的な評価指標を使うと仮定した場合、人が評価する以上は、すべての評価項目について、完璧に目線を同じくして評価できる、ということはあり得ません。訓練をしてある程度のすり合わせは可能であっても、一定以上はどうすることもできなくなります。
すると、評価のもうひとつの目的である「会社が求める行動や成果に対して、公平に処遇に反映する」という機能は常に脅かされていることになります。

そこで別の選択肢として、「評価」と「年次の昇給(給与改定)」を切り離す」という方法を視野にいれつつ制度構築を進めることがあります。ほとんどは「人事制度を初めて導入するが、評価者となる管理者が十分に育っていない(又は慣れていない)がゆえに、きちんとした評価がなされるまで相当の時間がかかる」という場合です。或いは、派遣業務などで「上司が直接的に部下の仕事ぶりを見ることができないケース」でも、検討が必要になることがあります。また「テレワークが中心」となった場合でも同じことになります。

具体的な方法のひとつは、
・年次昇給については、額は少なめにして自動昇給させる
・昇格(等級が上がる)の際に、大きく昇給する形をとる
です。(今回のお話では賞与評価を除外しています。)

これにより、毎年の評価は昇格の参考として活用するものの、処遇に直接的に反映することはなくなります。もちろん評価は実施しますが、あくまでも「次のランク(等級)にあがるためにどんな成長が必要か」というところだけに意識を集中して、評価やフィードバック面談をすることができます。

尚、昇格判断はどうするのか?という疑問が残りますが、その点は毎年の評価点のすり合わせよりも大枠のランク判断になりますので、それほどのブレは生じないものと考えられる、という前提となります。また能力の差は、少し時間はかかるものの昇格スピードで反映してくることになります。
制度面で考え方を変えることによって、評価のフィードバック面談は「何が課題で、どこを伸ばす必要があるのか」について、上司と部下でしっかり焦点を絞って検討する機会にしていただきたいと思います。

上記制度の考え方については、テレワークなどが増え、直接的に部下の行動観察できない、という場合にも検討してみられるとよいかも知れません。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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