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上場企業で、役員報酬の明確化が進む

2019年09月10日 カテゴリ:人事制度

執筆者:山口 俊一

人事戦略研究所 所長

人事コンサルティング、講演、執筆活動を中心に活躍している。職種別人事をベースにした独自の発想と企業の実状に沿った指導により全国からコンサルティング依頼を受け、定評を得ている。現在までに中小企業から一部上場企業まで、200社以上のコンサルティング実績を持つ。主なコンサルティングテーマは人事評価・賃金制度の構築、組織運営など。

東京証券取引所が、上場企業が守るべき企業統治指針としてコーポレートガバナンス・コードを作成・発表しています。その中で、役員報酬については、以下のように記述されています。


経営陣の報酬については、中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させ、健全な企業家精神の発揮に資するようなインセンティブ付けを行うべきである。

取締役会は、経営陣の報酬が持続的な成長に向けた健全なインセンティブとして機能するよう、客観性・透明性ある手続に従い、報酬制度を設計し、具体的な報酬額を決定すべきである。その際、中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定すべきである。


一方、金融審議会の「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」では、


現在の我が国企業の役員報酬の開示については、

 ・固定報酬と業績連動報酬の構成割合や、業績連動報酬の額の決定要因等、報酬プログラムの基本的内容が分かりづらい

 ・企業戦略の達成の確度を計る観点から必要な経営戦略の達成度と報酬のつながりが、報酬決定の際の KPI を含めて十分に説明されていない

 ・連結報酬総額1億円以上の役員に関する報酬総額等の開示について、企業価値の向上に貢献した経営陣に対してそれに見合った報酬を提供していくべきとのコーポレートガバナンス上の要請に合ったものとなっていないのではないかといった指摘がある。


といった問題点を指摘しています。


要するに、日本の上場企業は、役員報酬の決定基準やプロセスをあいまいにしており、そのことが経営陣の責任意識や業績意識の欠如につながり、十分なパフォーマンスを発揮できていないということなのでしょう。

これまで役員報酬は通常、社長など一部の人が水面下で決定し、オープンになるものではありませんでした。中小のオーナー企業であれば、なおさらアンタッチャブルな領域でした。

しかし、上場企業に対しては、あいまいな役員報酬制度のデメリットが指摘され、明確化することが促されています。各社の有価証券報告書やIRサイトを見ても、伊藤忠商事や資生堂など、「ここまで公開していいのか」というくらいオープンにしているケースも出てきました。


非上場企業の場合は、社外に向かって公表する必要はありません。しかし、少なくとも対象となる役員に対しては、役員報酬制度を明示することで、信賞必罰を明らかにすることが重要ではないでしょうか。


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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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