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"仕事主義"人事制度の定義と特徴

2018年12月01日 カテゴリ:賃金制度

執筆者:岩下 広文

人事戦略研究所 コンサルタント

大学卒業後、国内事業会社において人事・総務等の実務に従事。その後、人事アウトソーシング会社、及び、外資系大手コンサルティングファーム(※監査法人系)にて人事コンサルティング業務に従事した後、現職。人事評価・賃金制度構築や退職金制度設計だけでなく、組織・人事面における幅広いテーマでのコンサルティング経験を有する。人事の実務経験を活かした運用性の高い制度設計に定評がある。

前回のブログで取り上げた「仕事主義」の人事制度について、本稿ではもう少し掘り下げて解説を行いたいと思います。

前稿でも述べたように、「仕事主義」の人事制度というのは、「社員一人ひとりが実際にどのような内容/レベルの仕事を担っているかを判断軸とし、処遇(等級ランクや給与・賞与)を決定する仕組み」と定義できます。この定義が具体的に意味する所については、まずはその対極にある「ヒト主義」の人事制度の特徴を理解いただくと、分かりやすいかと思います。

「ヒト主義」の人事制度においては、社員がどのような仕事を担っているかもある程度は考慮はしますが、それよりも社員の"年齢""勤続年数"であったり、"能力""経験値"といった「人そのもの(=属人的要素)」に焦点を当てて処遇を決定します。従って、この「ヒト主義」の人事制度の下では、同じ内容/レベルの仕事を担っている社員が2人いる場合であっても、年齢や能力に違いがあれば、(基本的には)給与などの処遇は異なることになります。さらに言えば、年齢が若い上司よりも、年齢が高い部下の方が給与が高いケース(=いわゆる逆転現象)というのが、この「ヒト主義」の人事制度の下ではごく普通に発生します。

上記のような特徴を持った「ヒト主義」の人事制度ですが、属人的要素のどの部分にフォーカスするのかによって、「年功型」と「能力型」の2つに区分できます。このうち、後者の「能力型」については、「"職務"遂行能力」という言葉からも分かるように、仕事主義の考え方も部分的には内包しています。ただ、保有している能力のレベルと実際に担当している仕事のレベルというのは、必ずしも一致しません。例えば、管理職としての能力は十分に有している社員が、ポスト不足のため課長や部長といった然るべき役職に就いていない場合などです。そのような場合であっても、「管理職としての能力はある」という点にフォーカスし、実際の役職者に近い処遇を行うケース(※「担当課長」や「担当部長」など)が、日本企業ではまだまだ存在します。この場合は、やはり仕事ではなく「能力」というヒトの要素を重視して処遇を決定していることになりますので、広義的には能力型も「ヒト主義」として分類されることになります。

一方、本稿のテーマである「仕事主義」の人事制度では、社員の年齢/勤続年数や有している能力というのは、基本的には考慮しません。従って、先ほどの例とは逆に、同じ年齢や同じ能力の社員が2人いる場合であっても、Aさんの方がBさんよりもレベルの高い仕事に就いていれば、その分、等級や給与を高く処遇することになります。このため、仕事主義の人事制度の下で社員が自分の等級や給与をアップさせるには、より価値/レベルの高い仕事に就くことが必要になります。

これまで多くの日本企業で採用されてきた年功主義や能力主義の人事制度の場合、同じ仕事を続けていても、ある程度の所までは昇給したり昇格したりするケースがほとんどでした。しかしながら、「仕事主義」の人事制度においては、同じ仕事を続けている限り、基本的に昇給や昇格は発生しません。このように、「仕事主義」人事制度と「ヒト主義」人事制度とでは、実際の処遇の決め方の部分で、そのあり方が大きく異なるのです。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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