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日本企業で職種別賃金が進まない理由 1

2012年06月25日 カテゴリ:人事制度

執筆者:山口 俊一

人事戦略研究所 所長

人事コンサルティング、講演、執筆活動を中心に活躍している。職種別人事をベースにした独自の発想と企業の実状に沿った指導により全国からコンサルティング依頼を受け、定評を得ている。現在までに中小企業から一部上場企業まで、200社以上のコンサルティング実績を持つ。主なコンサルティングテーマは人事評価・賃金制度の構築、組織運営など。

「仕事」より「人」が優先される日本の賃金

欧米といっても、国や企業によって詳細は異なりますが、基本的に賃金は職務・職種によって決定するのが普通です。
日本で馴染みの深い年齢給や家族手当、住宅手当といった発想は、ほとんどありません。その人が何歳であろうが、子供が何人いようが、仕事内容とは関係なく、基本的に賃金に影響させることはないのです。アメリカの企業などでは、通勤手当すらないケースも珍しくありません。どこから通勤しようと仕事には関係ない、ということなのでしょう。
>  すなわち、日本では『人』に対して給与が決まってきたのに対して、欧米では『仕事』に対して決まる給与体系(=職務給)が一般的です。

職務給で重要なのは、職務を適切に評価するということです。職種や職務を区分し、それぞれの責任の重さや難易度、影響度の大きさといったことを判定し、値決めする。転職によるキャリアアップも活発なため、企業は同業種や同地域における他社の給与水準を、日本以上に気にかける。他社より劣っていれば、優秀な人材を引き付けられない、と考えるからです。
 もちろん、日本でもパナソニックは、ソニーやNECの給与水準をチェックしているでしょうし、意識もしているでしょう。ただし、それは他社への転職を恐れてのことではありません。パナソニックの社員が、ソニーの方が少し高給だからという理由で、転職することはあまり考えられないからです。

一方、欧米は『仕事』によって賃金も異なるのですから、職種ごとに賃金水準が違うことも、ごく自然なこととなります。生産職より生産技術職の方が高給であったとしても、そのこと自体は当然のこととして受け止められる。より高給を望むなら、技術を勉強して生産技術職に異動させてもらうか、社内で叶わなければ、他社の生産技術職に応募すればいいのです。

インドや中国も職種別賃金

また、このようなことは先進国だけに限ったことではありません。成長著しい中国企業でも、営業職と技術職、事務職、生産職では、給与水準や給与体系は大きく異なるケースが多い。ただし、中国の場合は、都市部と地方では所得格差が著しく、地域別・職種別賃金といった方が適切かもしれません。
インドでは、IT技術者になれば、普通の仕事の何倍もの給与を得られるため、優秀な子どもの多くが情報工学系の大学を卒業し、ITエンジニアになることを目指します。なおかつ、国もそれを後押しします。日本がIT技術の分野で、インド・中国に追いつき、追いこされた背景には、このような事情があるのです。

このように見てみると、主要国のほとんどは、職務を中心に置いた賃金体系であることが分かります。

日本以外は、職種別賃金が主流の考え方であるといってもいいでしょう。
では、なぜ日本企業では、職種別賃金が浸透しないのでしょうか?

次回へ続く

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。