評価のばらつき

これまで評価項目の設定や評価の運用ルール、360度評価などについて述べてきた。
 
このように評価制度が固まってくると、実際に上司が部下を評価し、評価結果を賞与や昇格などの処遇に反映させることになる。 そこで実際に上司が部下を評価すると、いくつかの問題が発生する。 その中でも一番大きな問題のひとつが評価結果(評価点)のバラツキである。
 
一人の人間が全社員を評価する場合は、評価に対する目線、もしくは、評価基準がぶれることはないので、点数にバラツキができることはないであろう。しかし、実際には、営業部長、製造部長、管理部長のように、複数の人間がそれぞれの部下を評価することになる。
そうなると、評価する人によって、評価点にバラツキが出てくる可能性が高い。いわゆる、甘辛と言われるようなことである。例えば、営業部長は非常に評価の基準が厳しく、部下社員の平均点が50点であるのに、製造部長は逆に評価基準が甘く、部下社員の平均点が80点になるようなケースである。
 
実際に、営業部の成績が悪く製造部の成績が良いのであれば、評価がこのような結果になることも考えられなくもないが、現実にはこのようなことが起こっているケースは少ない。各部門の成績、もしくは、各社員の仕事の内容というよりは、評価する人の目線、評価基準により点数のバラツキが出てきている。
このような評価の目線や評価基準にバラツキがあるままで、評価結果をそのまま処遇に反映させることはできない。従って、以前にも述べたように、評価の調整という場が必要になってくる。しかし評価調整をするからといって、評価の目線、基準のバラツキをそのままにしておいていいかというと、そうではない。やはり、管理者により評価の目線が違う、すなわち、評価が厳しい管理者と評価が甘い管理者が混在することは避けなければならないので、評価調整以前に何らかの対応をしなければならない。
 
このような不具合を是正する方法として、評価者の教育ということが挙げられる。
また評価者を教育するにあたっては、各評価者が、自分が厳しく評価しているのか、もしくは、甘く評価しているのかといった、自分の評価のクセを知らなければならい。
 
次回以降は、この評価のクセやそのクセを是正する方法(教育内容)について述べる。
 
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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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