退職金制度改革の実践 その2-(2) ポイント制について 

退職金に貢献度要素を盛り込む
前回解説したように、従来型の退職金制度には、
 
問題点1 「最終給与」の意味への疑問
問題点2 基本給よりも勤続年数によって決まるしくみ
問題点3 基本給のアップが退職給付債務の増大を招くリスク
 
という3つの問題があることを確認しました。
上記の問題点を解決するために、退職金そのものを実力主義化し、 トータルの貢献度要素を盛り込んでいく動きがみられます。 その代表例は「ポイント制(点数制)」と呼ばれる制度です。
 
ポイント制とは?
ポイント制は、最終給与比例方式と違って、毎年毎年の貢献度を、 最後に決まる退職金の支給基準に追加し、累積していきます。
 
同期入社で、途中の実力発揮度合い、貢献度が違うAさん、Bさんをモデルに両者を比較すると、よくわかると思います。
 
Aさんのキャリアをもとにしたポイント累計 ×支給率
Bさんのキャリアをもとにしたポイント累計 ×支給率
 
⇒AさんとBさんのポイント累計の差がそのまま退職金の差にもなる。
 
結果的にAさんとBさんでは、退職金にも支給格差がつくこととなりました。
以上は、年功型の退職金制度を実力主義にシフトするときのポイント制を使った方法です。
 
この考え方は、ポイントというだけでなく実際の金額に置き換えて行う方法なども含みます。 例えば、基本退職金は、毎年○○万円×勤続年数、役職退職金は役職別金額○○円×在位年数、 トータルの退職金は両者を合計する、といった方法です。いずれも、在籍途中の貢献度を反映するというところが重要な点です。
 
ポイント制のメリット・デメリット
ポイント制のメリットは、
 
①トータルの貢献度を、自社オリジナルの尺度で盛り込むことができる
②給与ベースアップ等の影響を避けることができる
③ポイント設定いかんによってポリシーを反映した”退職金カーブ”を設計することができる
④毎年のポイントを社員にオープンにすることにより、社員の納得感が高まる
 
といった点にあります。
 
逆にデメリットやネックになるのは、
 
①ポイント管理を毎年やらなければならない(管理コストがかかる)
②設計の基盤となる人事制度(等級制度等)が変わると、設計変更が必要となる
③最速~標準~最遅といった昇格モデル、あるいは学歴や職種ごとの標準的なモデル設定が必要となる
 
という3点です。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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