評価エラーとその対策③

前回までの記事では、逆算化傾向、寛大化傾向、厳格化傾向、中心化傾向、分散化(極端化)傾向について紹介してきました。最後に対比誤差とハロー効果について紹介します。

 

5. 対比誤差

決められた基準ではなく、自分自身や誰かを基準にして評価をすること
特に自分を基準にして評価することを指すことが多い
 

■ 主な原因

・自分に対しての過剰な自信(過剰なコンプレックス)がある
・日頃から十分な行動事実を観察していない
・評価基準を理解していない
・評価基準が曖昧であり現場に即していない など

 

■ 主な対策

・自分と人は違うということを認識する
・対象者の等級に求められる評価基準を理解する
・実態を踏まえて、評価基準を見直す
・日頃から部下と面談を行い、部下の行動事実を観察する など

 

6. ハロー効果

対象者の顕著な特徴(良い面、悪い面)に引きずられて、その他の項目について評価が歪められてしまうこと

 

■ 主な原因
・ひとつひとつの評価項目に対して判断をしていない
(早く評価を終わらせてしまいたい、評価基準を理解していないなど)
・部下の行動の一面しか見ていない など

 

■ 主な対策
・ひとつひとつの評価項目に対して、しっかりと吟味して判断する
・評価項目ごとに被評価者間の評価が適切であるかという視点で検証してみる
・部下を多面的に観察して、より多くの行動事実を収集する など

 

全3回に渡り評価エラーについて紹介してきました。意識しないと誰しも評価エラーに陥ってしまう可能性があります。だからこそ、評価エラーは、誰しもが陥るものだとまず認識することが重要です。そして、特に、「評価基準を理解し、評価者間で擦り合わせを行う」、「部下の行動を日頃から観察する」ことが評価エラーを防ぐための有効な手段となります。自分の評価エラーの傾向を知り、それを防ぐための工夫を行いましょう。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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