評価者教育の進め方

評価者教育の必要性
前回、前々回と評価傾向とその対策について述べた。評価者は、評価をする上での自分のクセを把握しておくとともに、そのクセを極力抑える方法も理解しておかなければならない。 しかし、それを管理者任せにすることに無理があるので、どうしても管理者の教育、つまり評価者としての教育が必要になってくる。
今回は、評価者としての管理者の教育について述べる。
 
評価者教育の目的
評価者教育の主な目的には、以下の3つが挙げられる。
 
①評価対象や評価基準の理解
まず、多くの管理者は評価シートの内容、つまり、評価項目や評価の基準について、あまり理解していない。そのため、自分の部下を評価するうえで、どのような評価項目があるのか、そして、その基準はどのようになっているのかを理解することが大切である。 評価の対象は、単に部下を査定するためのモノサシではなく、会社が社員に期待している事柄でもあるので、管理者として、会社が社員に何を期待しているのかを理解しなければならない。
 
②部下を良く理解することの必要性の認識
次に、多くの管理者は部下のことをあまり把握していない。そのため、部下を評価する際には、自分が部下に対して持っているイメージで評価してしまうことになる。 的確な評価をするためには、部下のことをきっちりと把握しておくことが大切である。そうでなければ、上司として部下の教育もしっかりとできないことになる。したがって、上司は、部下を評価する上で、部下の行動や仕事ぶりをしっかりと把握しなければならないことを理解する必要がある。
 
③評価のクセの是正
評価対象、基準を理解して、部下の仕事ぶりをきっちりと把握しても、評価する際には、やはり、各上司の評価のクセが出てしまう。そこで、評価者として、自分にどんなクセや傾向があるのか、それを是正するには、日頃からどんなことに注意しなければならないかを知っておく必要がある。
 
評価者教育の進め方
これらの目的を達成するために評価者教育を行なうわけであるが、具体的な進め方は以下のようになる。
 
①まず、評価者に自分の部下(できれば共通の部下)を評価してもらう
 
②その後、各評価者が評価した点数を一覧表にするなどして、それぞれの評価者がどのような評価をしたのかがわかるようにする
 
③続いて、その結果を見て、評価者による評価点の違いを把握するとともに、なぜ自分がどのような観点でその評価点をつけたのかを書く評価者が発表する
 
④発表後、各評価項目に関して、どのような観点で評価すべきか、また日頃、部下のどのような行動に注意しておかなければならないかをディスカッションする
 
⑤最後に各評価者が自分の評価のクセを把握し、今後、評価をするうえで、何に注意しなければならないかをまとめる
 
このような評価者教育を通じて、評価者による評価のバラツキをなくしていくとともに、評価を部下の教育、育成に活用していくことが重要である。
 
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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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