キャリアパスの見える化④
分析・診断
前回のブログでは、
①実在者を何名かピックアップし、キャリアアップの共通項を整理する
②あるべき姿から今後必要となる職務経験を整理する
という2点を押さえて自社のキャリアパスを検討するとお伝えしました。
今回からは上記のようなプロセスで検討したキャリアパスを人事制度にどのように落とし込むかをお話していきます。
◆ 等級制度を作りこみ、キャリアパスを表現する
人事制度上でキャリアパスを表現するためには、
・当社にはどのようなキャリアを築けるのか
・キャリアアップするためには何が必要か
・今、自分がどの辺にいるのか
このような点を社員からみて分かる状態にすることが必要です。そのためには、人事制度の中で「等級制度」のつくり込みが重要となります。
これまで多くの企業の人事制度を見てきましたが、上記のような点を踏まえて、等級制度がつくられているケースは少なくありません。等級に基づき基本給などが決まる仕組みが多いですが、「等級=給与水準を決める記号」という用途でのみ使われ、私自身「もったない」という印象を持っています。
このような点も踏まえて、キャリアパスの見える化に向けた制度策定時における主たる検討論点を整理すると以下のようになります。次回以降のブログにて論点ごとの具体的なポイントや事例についてお話していきたいと考えています。
【等級・役職フレーム】
・等級の数を何段階で設定するか?
・役職との対応関係をどうするか?
・専門職制度は設置すべきか?
・限定社員制度などコース別人事制度を採用するか?
【等級基準書】
・等級ごとの大まかなレベル感をどのように設定するか?
・等級基準書の中身をどうするか?
【昇格・昇進制度】
・昇格判定について、人事評価結果以外の要素は必要か?
・昇進判定について、明確な基準を設けるべきか?
「キャリアパスを見える化したい」というオーダーをよくいただきますが、実際の制度策定の場面では上記に示した論点を網羅的に検討することが重要です。
今回はここまでです。次回から具体的なポイントを解説していきます。
執筆者
岸本 耕平
(人事戦略研究所 シニアコンサルタント)
「理想をカタチにするコンサルティング」をモットーに、中堅・中小企業の人事評価・賃金制度構築に従事している。見えない人事課題を定量的な分析手法により炙り出す論理的・理論的な制度設計手法に定評がある。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。