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定年制度改革の足音

2017年09月01日 カテゴリ:労務関連

執筆者:森中 謙介

人事戦略研究所 コンサルタント

大学院では会社法務・労働法務を中心とした法律学の研究に従事。新経営サービス入社後は、主に中堅・中小企業を対象とした人事評価・賃金制度構築のコンサルティングを行なう。労務管理の分野にも精通し、最近では「残業削減」をテーマにしたセミナーや雑誌記事の執筆「改正労基法への実務対応①~④(人事マネジメント誌)」など、精力的に活動している。

「公務員定年、65歳に」

先日メディア各社が一斉に報じましたが、政府は国家公務員と地方公務員の定年を65歳に延長する検討に入り、2019年度から段階的に定年を延長する方向で議論を本格化していくようです。年金支給開始年齢の引き上げスケジュールを考えると、やはり2025年がターニングポイントになるでしょうか。民間企業においても、これから議論が加速することは間違いなさそうです。

 

改めて調べてみると、日本企業の定年年齢が60歳になったのは1994年の法改正で、それまでは55歳定年でした(尚、1986年の段階で既に「努力義務」となっている)。

その後、2000年以降に65歳雇用(正確には雇用確保措置を設ける義務)が段階的に法制化されて今に至りますが、当時から30年以上の年月を経て、いよいよ定年延長が現実味を帯びてきました。

 

今後、定年延長の法制化を見据えて、多くの企業では組織・人事制度全体の抜本的見直しが求められることとなります。総額人件費の抑制が主要なテーマに上がりますが、実際には、

 

 ・生涯賃金カーブ全体の見直し

 ・シニア社員の生産性向上

 ・定年前の雇用流動化の促進 etc

 

といった複合的な課題を一体的に解決していく取組みが求められることになります。

加えて、「同一労働同一賃金」の問題も今後はクリアしていく必要があります。トラック運転手に係る長澤運輸事件も、最高裁判断によっては確実に法改正に影響を与えてくるでしょうから、経過が気になるところです。

 

感覚的ですが、同テーマに関する先行企業は他社より10年ないし15年程度取組みが早い印象であり、既に組織・人事を65歳定年に完全に対応させている企業も少数ですが存在します。こうした企業と大多数の企業(中でも社員の高年齢化が顕著な企業)における企業競争力の差は明白です(特に「人事マネジメント」の領域において)。

大手企業含め、大多数は未だ様子見の状況ですが、これだけ多くの、かつ抜本的な見直しを一気に進めるのは非常に困難が予想されます。当然段階的に準備を進めていく必要があり、2018年以降は多くの事例を目にすることになりそうです。「手遅れ」にならないよう、我々としても、1社でも多くの企業の支援を積極的に展開していきたいと考えています。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。