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社員に業績をオープンにすることの効用

2014年02月08日 カテゴリ:人事制度

執筆者:山口 俊一

人事戦略研究所 所長

人事コンサルティング、講演、執筆活動を中心に活躍している。職種別人事をベースにした独自の発想と企業の実状に沿った指導により全国からコンサルティング依頼を受け、定評を得ている。現在までに中小企業から一部上場企業まで、200社以上のコンサルティング実績を持つ。主なコンサルティングテーマは人事評価・賃金制度の構築、組織運営など。

中小企業において、社員に業績をどこまでオープンにするかは悩ましいところです。上場企業であれば、決算データを四半期ごとに公開しなければなりませんが、非上場であればそのような義務はありません。
したがって、義務としてではなく、経営情報公開の効果性について考えてみたいと思います。

社員に業績をオープンにするメリットとしては、
  ・経営の透明性について不信感がなくなる
  ・社員が当事者意識をもつことで、業績向上への意欲が高まる
  ・業績不振時などは、危機感を共有できる
といったことが挙げられます。

反面、経営者として心配な点は、
  ・社外に経営情報が漏えいする恐れがある
  ・役員報酬など知られたくない情報がある
  ・業績不調時などは、危機感ではなく、会社への不安につながる
  ・業績好調時などは、給与水準などへの不満につながる
といったところでしょうか。

そこで、経営者としての心配点を回避しつつ、情報公開のメリットを享受するためには、次のような対策が必要です。

1.社員に対して理解してもらいたい経営指標に絞って公開する
たとえば決算書(損益計算書、貸借対照表)をそのまま公開しても意味がありません。全社の売上高や営業利益などは良いとして、支店の営業部門であれば支店の売上や利益、チームや個人の成績が対象になるでしょう。製造部門なら工場や課ごとの生産性・不良率、管理職であれば部門損益や人件費。というように、階層別・部門別によって認識してもらいたい経営指標は異なります。ポイントは、その人が意識し、努力することで改善につながる指標を選択するということです。

2.経営指標の意味と活用方法を念入りに教育する
次は、教育です。経営指標をオープンにすれば、社員の業績意識が高まるというものでもありません。多くの社員は、「粗利益」「営業利益」「経常利益」「(税引後)当期利益」の違いも理解していません。また「生産性を高めろ」と社長が指示したところで、生産性がどのような実績に表れるか正確には知りません。
たとえば「わが社では、営業マンは年収の何倍の売上を上げなければならないか?」「粗利率を1%高めると、営業利益はいくら改善するか? また、その方法は?」「顧客ごとの販売額と投入時間はバランスがとれているか?」「10%値引きすると、どれだけ売上を増やさないといけないか?」・・・。
というように具体的に業績指標を理解し、改善のための方策について学習することで、正しい理解へとつながるのです。

3.経営指標と賞与や表彰・報奨などとリンクさせることで、動機づけにつなげる
必要な指標に対して、正しい理解ができたとして、やはり人間。行動のためのインセンティブが必要です。社長や部長が怖いといった負のインセンティブもあるでしょうが、できれば自発的に動いてもらいたいものです。そのため、経営指標の改善を、人事評価や報酬に結び付けておくことは重要な施策となります。少なくとも、会社の業績を良くすることは、自分たちにとっても良くなることだという認識を、社員全員にもってもらわなければなりません。

全社員が経営者意識をもつ、というのは実際には困難ですが、そこに近づけることで、自発的な行動を促すのです。

経営者が社員を信用し、できる限り経営情報をオープンにする。まずは、幹部 → 管理職 → 一般社員 と順番に広げていかれてはいかがでしょうか。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。