平均年収レポート(2026年版)~令和7年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)より~

本レポートのポイント

  • 平均年収(全規模計)は 545.6万円(前年比 +3.5%)、1,000人以上規模では 649.4万円(前年比 +6.5%)と大幅に上昇。直近2年(2024〜2025年)で大企業の年収引上げが大きく加速している【図表1】
  • 1,000人以上と10〜99人の規模間格差は 193.2万円 と過去10年でほぼ横ばいで推移しており、両者の年収差は縮小していない【図表2】
  • 都道府県別では全国平均を上回るのは東京・神奈川・愛知・大阪の4都府県のみ。最高の東京(678.0万円)と最低の青森(400.8万円)の差は 277.2万円(1.69倍)に達する【図表4】
  • 業種別では最高の電気・ガス・熱供給・水道業(755.4万円)と最低の宿泊業・飲食サービス業(402.6万円)で 352.8万円(1.88倍)の差がある【図表5】

本レポートは、厚生労働省が毎年実施する「賃金構造基本統計調査」をもとに分析・解説したものです。中小企業の経営者・人事担当者の皆様が、自社の賃金水準を見直す際の参考指標としてご活用ください。
なお、本レポートにおける「年収」とは、「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与」を指します。「現金給与額」は手取り額でなく、所得税、社会保険料などを控除する前の額であり、基本給、職務手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などが含まれるほか、超過労働給与額も含まれます。

目次

  1. 2025年の平均年収水準(企業規模別)
  2. 平均年収水準の推移
  3. 年代別の平均年収水準
  4. 都道府県別の平均年収水準
  5. 業種別の平均年収水準
  6. 総括と提言
1.2025年の平均年収水準(企業規模別)

全規模で平均年収が上昇しており、特に1,000人以上規模では前年比+6.5%と大幅な伸びを記録しました。一方で、規模による格差は依然として大きく、1,000人以上と10〜99人規模との間には193万円超の開きがあり、大規模企業と小規模企業における賃金格差が拡大しているといえます。

【図表1】企業規模別平均年収一覧(2025年、男女計)

【図表1】企業規模別平均年収一覧(2025年、男女計)

「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)をもとに弊社作成

ポイント

  • 平均年収(全規模計)は 545.6万円(前年比 +3.5%)、1,000人以上規模では 649.4万円(前年比 +6.4%)となった。全規模で前年を上回り、特に大企業の伸びが目立つ。
  • 規模間格差は依然として大きく、1,000人以上(649.4万円)と10〜99人(456.2万円)の差は 193.2万円 で、大企業の年収は中小企業の約 1.42倍 に相当する。
  • 100〜999人規模の前年比は +1.1%(+5.7万円)で、他規模に比べ上昇幅が小さい。ただし2023年(+3.0%)、2024年(+3.5%)と2年連続で他規模より高い伸びを示してきた経緯があり、2025年における伸び率の低迷は前2年の反動とも解釈できる。
2.平均年収水準の推移

10年スパンで平均年収の推移をみると、2021年以降に上昇ペースが明確に加速しており、特に1,000人以上規模では前半5年の停滞から一転して直近4年で急速に引上げが進んでいます。一方、規模間格差については10年前と比較して縮小していません。

【図表2】企業規模別の平均年収の推移(過去10年間)

【図表2】企業規模別の平均年収の推移(過去10年間)

「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)をもとに弊社作成

ポイント

  • 過去10年(2016→2025年)で全規模計は 486.8万円から 545.6万円へ +58.8万円(+12.1%)上昇した。1,000人以上は +62.4万円(+10.6%)、100〜999人は +52.4万円(+11.2%)、10〜99人は +59.2万円(+14.9%)といずれの規模でも上昇している。
  • 前半5年(2016→2021年)と後半5年(2021→2025年)を比較すると、上昇ペースが大きく異なる。1,000人以上規模は前半 ▲19.1万円に対し後半 +81.5万円と劇的に反転した。10〜99人規模も前半 +18.0万円から後半 +41.2万円へと伸びが加速しており、2021年以降の賃上げ機運の高まりが年収水準にも明確に反映されている。
  • 2020年(コロナ禍)の影響は規模によって大きく異なる。1,000人以上は2019年の 580.2万円から2020年の 562.4万円へ ▲17.8万円となった一方、10〜99人はほぼ横ばい(▲0.1万円)であった。業績変動局面では賞与額の大きい大企業の方が年収の振れ幅が大きくなる構造が確認できる。
  • 規模間格差は10年間でほぼ縮小していない。1,000人以上と10〜99人の絶対額の差は2016年の 190.0万円から2025年の 193.2万円 とほぼ横ばいで推移している。
3.年代別の平均年収水準

年収カーブの上昇幅は企業規模によって大きく異なり、大企業ほどピークが高くなる一方、60歳到達時の年収減少幅も大きくなる傾向が見られます。また、ピーク年齢も企業規模によって異なります。

【図表3】年代別の平均年収(2025年、男女計)

【図表3】年代別の平均年収(2025年、男女計)

「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)をもとに弊社作成

ポイント

  • ピーク年齢と水準は企業規模で異なる。1,000人以上規模は 55〜59歳で 794.7万円(25〜29歳の約1.56倍)でピークを迎えるのに対し、10〜99人規模は 50〜54歳の 508.8万円(同約1.32倍)にとどまる。大企業ほどピークが遅く・高くなり、賃金カーブの傾きが急になる。
  • 60歳到達時の年収減少幅も規模で大きく異なる。1,000人以上では55〜59歳から60〜64歳にかけて ▲214.3万円(▲27.0%)と急減するが、10〜99人では ▲41.1万円(▲8.2%)にとどまる。
  • 100〜999人規模では、若手・30代(〜39歳)の伸びが前年比 +3〜4%台と堅調な一方、40〜50代(40〜59歳)は前年比 ±0%前後で、特に55〜59歳は ▲1.8% と減少している。賃上げ原資が若年層・初任給引上げ層に重点配分された結果、ベテラン層が据え置きとなっている可能性がうかがえる。
4.都道府県別の平均年収水準

全国平均(545.6万円)を上回るのは東京・神奈川・愛知・大阪の4都府県のみで、東京(678.0万円)と最低の青森(400.8万円)の間には約277万円の格差があります。

【図表4】都道府県別の平均年収(2025年、男女計、企業規模計)

【図表4】都道府県別の平均年収(2025年、男女計、企業規模計)

「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)をもとに弊社作成

ポイント

  • 全国平均(545.6万円)を上回るのは 東京(678.0万円、124.3%)、神奈川(592.1万円、108.5%)、愛知(570.4万円、104.5%)、大阪(550.4万円、100.9%)の 4都府県のみ。三大都市圏とその周辺への一極集中が鮮明である。
  • 最高の東京(678.0万円)と最低の青森(400.8万円)の差は 277.2万円、倍率では 1.69倍 に達する。下位5県(青森・沖縄・宮崎・山形・秋田)はいずれも全国平均の78%以下にとどまり、地域による年収格差は依然として大きい。
  • 前年比でみると、岐阜(+8.9%)、山梨(+7.7%)、千葉(+6.7%)、鹿児島(+6.4%)、茨城(+6.3%)など地方圏でも高い伸びを示した県がある一方、大阪(▲1.1%)、青森(▲0.8%)、石川(▲0.7%)、山形(▲0.6%)の4府県は前年を下回った。ただし、地域別の年収は賞与変動の影響が大きく、単年の増減を過大評価しないよう留意が必要である。
5.業種別の平均年収水準

業種による年収格差は最大352.8万円(1.88倍)と大きく、エネルギー・金融・専門技術系の高水準業種に対し、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業などの業種が低水準になる傾向があります。

【図表5】業種別の平均年収(2025年、男女計、企業規模計)

【図表5】業種別の平均年収(2025年、男女計、企業規模計)

「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)をもとに弊社作成

ポイント

  • 業種間格差は極めて大きく、最高の 電気・ガス・熱供給・水道業(755.4万円)と最低の 宿泊業・飲食サービス業(402.6万円)の差は 352.8万円、倍率では 1.88倍 に達する。
  • 全業種平均を大きく上回るのは、電気・ガス・熱供給・水道業(+209.8万円)、金融業・保険業(+178.4万円)、学術研究・専門技術サービス業(+168.5万円)、情報通信業(+122.9万円)、鉱業(+102.8万円)などの規制産業・インフラ系および高度専門サービス業が中心である。
  • 全業種平均を100万円以上下回るのは、宿泊業・飲食サービス業(▲143.0万円)、サービス業(▲119.4万円)、生活関連サービス業・娯楽業(▲114.5万円)などの対人サービス系業種が中心である。
  • 前年比は業種によるばらつきが大きく、学術研究(+8.3%)、金融(+7.7%)、情報通信(+5.6%)が高い伸びを示す一方、不動産(▲1.0%)、教育(▲0.5%)は前年割れとなった。賞与変動や業況による単年変動が大きい点には留意が必要である。
6.総括と提言

ここまでのデータを踏まえ、実務対応における筆者の見解を示します。

実務対応上のポイント

  • 100〜999人規模の年代別データは、賃上げ原資配分が若年層・初任給引上げに偏っていることを示唆している。初任給引上げに合わせて若手・中堅の昇給ペースを上げる一方、40〜50代の賃上げを後回しにすると、ベテラン層のモチベーション低下や離職リスクにつながりかねない。賃上げ原資の年代配分は、初任給だけでなく賃金カーブ全体を見据えて設計する必要がある。
  • 年収の単年変動は賞与の比重に大きく左右され、2020年に1,000人以上規模で年収が約17.8万円減少したのは賞与減少が主な要因と考えられる。基本給比率を高めることは賃金の安定性と採用市場での競争力を高める一方、業績悪化時の人件費調整余地を狭めることになるため、基本給と賞与のバランス設計は、自社の業績変動リスクを踏まえた戦略的判断が必要である。
  • 地方企業は年収の絶対額で都市圏に対抗することは現実的でない一方、住居費・通勤時間・生活コストを含めた「可処分所得・可処分時間」での訴求は十分に競争力を持つ。地方企業の採用においては、年収単体ではなく生活水準ベースでの優位性を可視化することが有効である。
  • 年収データは賞与の影響を強く受けるため、単年の数値だけで自社水準を評価することでミスリードを招く可能性がある。特に都道府県別・業種別の数値は、対象企業の業績や賞与支給状況によって単年で大きく変動するため、賃金水準の見直しにあたっては、複数年の推移を確認し、トレンドとして判断することが望ましい。

※本レポートの掲載データは公的統計に基づく事実情報を中心としつつ、一部に筆者の見解・解釈を含みます。データの引用・転載にあたっては出所を明記してください。