賃金制度改革7つのポイント

自社が賃金制度を改革する場合のポイントを、7つにまとめました。自社にとって最適な賃金制度を構築することによって、高い企業収益と社員の高いモチベーションを実現しましょう。

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①賃金体系の特徴を理解する

賃金とは、月例給与(基本給、諸手当)、賞与、退職金といった、会社が社員に対して主に金銭で支払う報酬全体を指します。ただし、退職金については少し性質が異なりますので、ここでは月例給与と賞与など、毎年直接的に支給される項目についてのみ賃金ということにします。

ひと口に賃金制度(給与・賞与制度)といっても様々な体系があります。まずは、賃金体系についての理解を深めることです。「ジョブ型雇用の時代だから職務給に変えていくべきだ」「うちには成果主義は合わないから、年功序列がいい」というように、大きな流れや概念だけで決めてしまうと危険です。選択肢をできるだけ広げ、より自社に合った賃金制度を構築する必要があります。

賃金には、①年齢給、勤続給 ②能力給 ③役割給 ④職務給 ⑤成果給 といった体系があり、その特徴は以下の通りです。

主な体系と特徴

体系 仕組みの概要 メリット デメリット
①年齢給、
 勤続給
毎年一定時点の年齢や継続年数によって支給額が決まる 一般的には毎年安定的に昇給する仕組みのため、社員には受けが良い 会社/個人の業績に関係なく給与が決まるため、人件費コントロールが難しい
②能力給 毎年の能力評価の結果によって昇給額を決定する 能力やスキルの習熟に応じて、毎年少しずつ昇給させることができる 一般的には積み上げ型の給与のため、年功的な運用に陥りやすい
③役割給 役割等級制度の下で、役割の大きさによって等級ごとに定額で支給する 昇格の際に、大きな昇格昇給が発生するため、昇格インセンティブが高まる 一般的には定額給のため、評価等を反映できない
④職務給 職務等級制度の下で、職務価値に応じた金額を支給する
「同一労働同一賃金」には最適で、欧米ではスタンダード
「仕事の価値」によって、賃金を細かく設定することができる 異なる職種について、それぞれの職務価値を評価するのが難しい日本企業では、あまり馴染みがない
⑤成果給 期毎の個人業績によって、毎年支給額が上下変動する 期毎の業績を給与にも反映できるため、人件費コントロールを行いやすい 社員が短期的志向に陥りやすい

それぞれの体系にはメリット・デメリットがあり、実際にはこれらを組み合わせた賃金制度を設計、導入する企業が大半です。どの体系を採用するかは、企業ごとの報酬に対する考え方により決定されるべきものであり、どれが正しい、ということではありません。企業特性に応じた選択をする必要があります。
また、給与制度や賞与制度には、企業業績に応じた人件費の「総額コントロール」と「適正配分」を両立できるようなしくみが求められます。人件費配分の根拠を明確にし、優秀人材のモチベーションをさらに高めることが可能な仕組みの構築を目指しましょう。

②現状の課題を認識し、改定方針を固める

賃金制度(給与・賞与制度)改革に着手する際には、まず現状を正しく把握することから始めます。現状把握は、以下のような定量的、定性的な観点から整理していきます。

  • 定量的な観点:総額人件費水準、個別賃金水準(外部比較、内部比較)、人員の年齢構成など
  • 定性的な観点:社員意識、風土、経営方針、業界特性など

定量的な観点では数値やグラフを用いて、世間水準と比較できる資料を作成します。また定性的な観点では社員アンケートや資料の整理といった方法で行います。

(1) 総額人件費水準の捉え方
一般に人件費は、役員報酬、給与手当、賞与、法定福利費、福利厚生費、退職金などの項目で構成されています。
まず総額人件費が適正かどうかということですが、これは自社の一人当たりの平均人件費が「業界水準と比較してどうか」、「地域水準と比較してどうか」、という観点でみていきます。業界水準や地域水準と比較して低いようでは、社員のモラール低下につながります。逆に高いのであれば、業績不調時に、人件費が経営を圧迫する可能性が高くなります。
また過去5か年程度の自社の総額人件費と業績数値との連動性も確認します。人件費が売上や売上総利益と連動している場合は「業績に応じた人件費コントロールができている」といえますが、そうではない場合については人件費が「固定化している傾向」にあり、適正にコントロールできていない可能性があります。
(2) 個別賃金の水準
賃金水準をみるには、賃金カーブを確認するとよくわかります。賃金カーブは、年齢を横軸に、賃金を縦軸にとって、社員の年齢と賃金の関係を見るものです。厚生労働省のホームページでは、「賃金構造基本統計調査」という業種別、都道府県別の給与、賞与の平均データが掲載されています。このような公開データと比較検討するためのグラフを「給与(所定内、所定外含むの両方)」「賞与」「年収」などに分けて作成するとよいでしょう。 また個別賃金をみる際には、外部水準との比較だけでなく「内部公平性」についても確認します。等級区分や役職区分などを横軸に、賃金を縦軸にとり、等級間(役職間)バランスを確認します。
(3) 年齢別の人員構成
年齢別の人員構成を把握することにより、問題点がわかりやすくなる場合があります。どの会社でも、「わが社は高齢化している」「管理職が多すぎる」「技術職・研究職が少ない」など、自社のおおよその社員構成はすぐにわかると思います。しかし、社員の人員構成を詳細にみることにより、どの層にスポットライトを当てて、どんな対策を講じなければならないかが明確になります。
人員構成をみるには、男女別、年齢別、職種別に、社員の人数をグラフ化した社員ピラミッドや年齢別、職種別に社員数を一覧表にした職種別年齢構成表などが有効です。
(4) 社員アンケート

社員アンケートは、社員が自社の人事処遇制度にどのような意識を持っているのかを知るために有効な手段です。給与決定基準と納得性、人事評価基準と納得性、昇格基準と納得性、職場配置への満足度、教育研修への要望などを質問項目としてアンケートを作成します。部署別、年代別、男女別というように属性を把握できるようにすれば、属性ごとの問題点が明確になります。

以上のように、定量・定性的な観点で現状の把握を行った上で、経営会議や人事プロジェクト会議を通じて、賃金方針を固めていきます。例えば、「入社~若年層の給与水準を引き上げる」「賞与のメリハリを拡大する」「管理職の手当を引き上げ、一般職との給与逆転現象を是正する」といった具合です。

③自社に合った賃金体系を選択する

ポイント①の「賃金体系の特徴を理解する」でご紹介したように、賃金体系の種類はさまざまです。近年の日本では、能力給を設定している企業が多いものの、年齢給や勤続給を残している企業もあります。一方、欧米では職務価値に応じた職務給が中心となっています。これらは、各国の産業構造、雇用のしくみ、組織マネジメントの考え方、主たる職務の特性などが影響しており、複雑な歴史の中で育まれてきたものです。

かつて成果主義の流れに従って成果主義人事制度を取り入れた企業の中には、企業特性に馴染まず失敗したケースがありました。また、昨今取り上げられているジョブ型雇用の時代だからといって、職務記述書(ジョブディスクリプション)を作成して職務給を決めようとしても、その内容が会社に合わないものであればうまくいきません。賃金体系を選択する際は、自社の賃金に関する考え方を整理するよい機会です。議論を重ねて慎重に検討をしていきます。 例えば年功色の強い賃金体系から、能力や成果に応じた賃金制度へ改定するケースでも、方法はひとつではありません。

(1) 年齢給、勤続給、家族手当などを廃止・縮小する
現在の給与制度の中で年齢給、勤続給といった年功要素や、家族手当、住宅手当といった生活関連の手当があれば廃止・縮小し、新しい体系に組み込む方法です。
(2) 等級基準を明確にし、給与幅を設定する
職能給や職務給をベースにする場合に、各等級や職務レベルごとの成果責任を明確にし、給与の下限、上限の幅を設定する方法です。長年にわたり職能給を運用している会社のほとんどは、年功化してしまっています。そこで、再度等級や職務レベルを見直し、成果責任基準、運用ルールを厳格にする。また、給与についても、この等級の上限はここまでというように線引きをする方法です。
(3) 評価ごとの昇給格差を拡大する
これは、毎年の給与改定の際、個人格差を広げ、場合によっては評価の低い者に対しては減給するようなしくみに変える方法です。

幹部社員層の給与改定例

従来

評価 昇給額
S
A
B
C
D
8,000円
7,000円
6,000円
5,000円
4,000円

新制度

評価 給与改定額
S
A
B
C
D
12,000円
9,000円
6,000円
3,000円
0円
(4) 業績手当を設けて、期間ごとの業績評価によって支給する
業績により変動する手当を設定する方法もあります。3ヶ月や6ヶ月ごとというように一定期間内の業績を評価し、各人の手当を決定します。

管理職手当の業績評価による変動例
(半期ごとの業績評価により、
次の半期の管理職手当を決定する)

評価
役職
S A B+ B B- C D
本部長 160,000円 140,000円 130,000円 120,000円 110,000円 100,000円 80,000円
部長 120,000円 105,000円 97,000円 90,000円 83,000円 75,000円 60,000円
次長 80,000円 70,000円 65,000円 60,000円 55,000円 50,000円 40,000円
課長 53,000円 47,000円 43,000円 40,000円 37,000円 33,000円 27,000円

④諸手当は自社の経営方針に沿って見直す

月給は、基本給部分と手当部分に分類できます。代表的なものとしては、住宅手当や家族手当などの生活補助的な手当や、役付手当に代表される職務に対する手当などがあり、その支給方法や金額は企業の独自の考え方で決めることになります。
そこで手当を検討する際には、現在ある手当の見直しと新たに加えるべき手当について①で検討した方針に沿って整理をしていきます。

また手当類については、同一労働同一賃金に関する法律改正により、非正規雇用の従業員とのバランスが課題となってきます。
(同一労働同一賃金ガイドラインに関する考え方は、弊社サイト「同一労働同一賃金.com[https://douitsu-chingin.com/]」にてご確認ください)

手当についての検討の要点を以下に示します。

手当 検討の要点
家族手当 一般社員との賃金バランスによって決定すればよいでしょう。一般社員と管理職相当の役職者の間に給与逆転現象が生じている場合は、その水準の見直しが必要となります。役職者の給与水準に一定の魅力をもたせることが、社員成長の原動力となりうるからです。
住宅手当 仕事の成果や貢献度には関係がないため、職務に対する賃金方針をとる場合には見直し対象となるでしょう。また昨今のトレンドとしては、配偶者手当部分を廃止又は引下げ、子供手当部分を拡充する方向へ舵を切る企業も増えています。
役付手当 一般社員との賃金バランスによって決定すればよいでしょう。みなし時間外手当の位置づけとする場合には、そのことを明確にしておく必要があります。
営業手当 営業職の賃金水準を引上げたい場合には有効でしょう。一律の金額設定の場合もあれば、等級別に金額を設定する方法などもあります。
精皆勤手当 工場勤務者や店頭販売職など、まず出社してもらうことが重要視される職種については有効です。一方、仕事の成果を中心に評価しようという場合には、逆行する手当でもあります。また突発休に対して、有休適用をされている企業では、形骸化しているケースもあります。
地域手当 現在のように地域間の物価格差がある状態では、必要な場合があります。住宅手当、転勤手当を支給している場合は、総合的なバランスをみながら検討する必要があります。
業績手当 うまく活用すれば業績に対する社員の意識向上につながります。基準づくりと運用面での工夫が重要です。

以下は、ある会社の基本給、諸手当の見直し方針例です。このように、変更の理由を明確にした上で、改定案を作成します。

給与項目変更例

現行給与項目 新給与項目 内容 変更の理由など
年齢給 基本給 職務等級に基づく職務給体系業績評価により変動 役割の大きさ、職務内容に対する報酬という考え方を徹底するため。
職能給
役付手当 役付手当 業績評価により変動 管理職者の業績への意識を高めるため。
家族手当 子供手当 現行の配偶者10,000円、子供5,000円/人、から、配偶者分を廃止。子供10,000円へ引き上げ。 少子化傾向の中で、次世代育成支援の考え方に基づいて、子育てを支援する。
住宅手当 地域手当 東京勤務者のみ15,000円 地域ごとの物価格差分のみ残す。
皆勤手当 <廃止>   実態として形骸化しているため。
食事手当 <廃止>   意味が不明確なため。
ライセンス手当 公的資格ランクごとに設定 業務に必要な資格取得奨励のため。

※法律で定められている時間外手当等は現行通りとする。

⑤賞与は会社業績の配分であることを明確にする

賞与制度は、大きく賞与総額決定と個別賞与額決定に分類できます。

賞与総額(賞与原資)は、会社業績を基に決定することになりますが、業績といっても、次のように多段階に分かれます。

  1. 売上高
  2. 売上総利益(売上高-売上原価)
  3. 営業利益(売上総利益-販売管理費及び一般管理費)
  4. 経常利益(営業利益+営業外収益-営業外費用)
  5. 税引前当期利益(経常利益+特別利益-特別損失)
  6. 税引後当期利益(税引前当期利益-法人税など)

どの段階を基準にすることもできますが、賞与本来の利益配分という考え方からすれば、営業利益か経常利益がベースとなるでしょう。以下は、売上高に対する経常利益の水準(比率)に連動させた賞与支給総額(月数)の決定例です。

賞与総額設定基準例

半期売上高対経常利益比率
(賞与支給前)
半期賞与支給月数
(基本給比)
11.0%以上 平均4.0ヶ月
10.0%以上 11.0%未満 平均3.5ヶ月
9.0%以上 10.0%未満 平均3.0ヶ月
8.0%以上  9.0%未満 平均2.5ヶ月
7.0%以上  8.0%未満 平均2.0ヶ月
6.0%以上  7.0%未満 平均1.8ヶ月
5.0%以上  6.0%未満 平均1.6ヶ月
4.0%以上  5.0%未満 平均1.4ヶ月
3.0%以上  4.0%未満 平均1.2ヶ月
3.0%未満 平均1.0ヶ月

一方、個別賞与額の決定については、人事評価を反映させる方法としても次のようなものがあります。

a.基準額×平均支給月数×評価係数
b.評価ポイントによる賞与配分

a. 基準額×平均支給月数×評価係数

この方式は、最も多くの会社で使われています。基本給を中心とする月例給与を基礎額とし、平均支給月数を掛け、評価結果による格差をつける方法です。例えば、次のような基準です。

(1) 賞与基礎額=基本給+役職手当
(2) 評価係数基準

人事評価 評価係数
S 1.2
A 1.1
B 1.0
C 0.9
D 0.8

もちろん、基礎額や評価係数基準は自社に合ったものを作成します。

b. 評価ポイントによる賞与配分

これは、人事評価結果に等級(あるいは役職)別の係数を掛けた評価ポイントをもとに、原資を配分する方法。等級別係数とは次のようなものです。

個人別賞与額=各人評価ポイント(評価点×等級別係数)×1ポイント当り単価
1ポイント当り単価=賞与原資÷全社員の評価ポイント合計

等級別係数例

等級 係数
8 3.0
7 2.6
6 2.2
5 1.9
4 1.6
3 1.4
2 1.2
1 1.0

なぜ、等級(役職)別の係数を掛けるかというと、人事評価で同じ50点をとったとしても、職位が上がるほど貢献度が高いと考えられるためです。

⑥報奨金制度でスパイスをきかせる

報奨金制度は、うまく活用すれば社員の意識づけに効果を発揮します。主として、セールス部門で導入されることが多いものの、工夫次第で他の職種にも広げられます。報奨金制度を考える際のポイントは以下のようなものです。

(1) 対象範囲の決定
全社員か、特定部門のみか、その場合どの層までが対象となるのか。場合によっては、パート社員までを含めることもあります。特定部門のみにすると、社内の不公平感を増長させる恐れがあるので注意が必要です。一方、個人ごとの成果に対して支給するのか、部門あるいは全社の成果に対して支給するのかを決めます。
(2) 期間の設定
対象期間を設定します。毎月、3ヶ月ごと、半年ごと、というように適切な単位を考えます。半年にすると賞与と重なり、効果が半減する可能性があります。また、内容によっては期間を限定せず、該当者が現れた時のみ発生させる方法もあります。
(3) 評価基準の作成

報奨金に対しては、よりシンプルな基準にしてください。例えば、「全社が月次売上高目標を達成した場合、全社員に報奨金を一律支給する」といったものは最もシンプルでしょう。要するに、やる気につながらなければ意味がないので、誰もが分かる内容にしておくことが重要です。

基準は、目標達成や絶対額の大きさなどが一般的ですが、数値化しにくいものについては、審査機関を設定して決定することもできます。

(4) 報奨金額の設定
内容にもよりますが、あまり多くしなくてもよいでしょう。あくまでも、給与、賞与を補完するものとして位置づけです。必要であれば、導入後増やせばよいのです。
できれば、給与や賞与支給時に合わせるのではなく、現金で渡す方が効果は高くなります。既婚者の場合は、家計に入るか、自らの財布に入るかで動機づけに大きな差が出ます。また、図書券や商品券を支給している会社もあります。
(5) 表彰方法

表彰方法については、名誉を与えられるよう配慮します。そのため支給の際には、朝礼や集会など多くの社員の前で、重要感の出るような演出が必要です。

それぞれの会社に合った基準を考え、社員の動機づけに活用しましょう。

⑦移行シミュレーション、移行措置は慎重に行う

基本給や手当、賞与制度が固まっても、すぐに導入はできません。自社の実態に合っているかどうかを検証しなければならないからです。検証の手段は主に2つ、①モデル給与の設定と②移行シミュレーションがあります。

(1) モデル給与の設定
モデル給与は、新卒で入社した社員が、順調に昇格、昇給していった場合の想定給与額のことです。等級や役職を駆け上がる想定スピード=モデル年数をもとに、給与、賞与、年収がどのように推移するかを一覧表にします。役職や年齢ごとの賃金水準が適切かどうかを確認します。
(2) 移行シミュレーションの実施

移行シミュレーションは、既存社員を新制度に当てはめる作業です。まず、各社員の等級を仮設定し、現行給与と新給与の比較を行ないます。賃金総額および個別賃金の増減について、予定していた範囲内に納まっているか、また意図した結果になっているかを見ます。

モデル給与と移行シミュレーションを繰り返しながら、基本給表、手当額を調整します。骨の折れる作業ですが、ここで手を抜くと、導入後に不都合が生じます。
賃金制度に、どこの企業にも当てはまる正解はありません。自社の方針や実状に沿った賃金制度を構築することが肝要です。

移行シミュレーションが終われば、制度導入の準備は整います。次は、移行するための社員説明を行う必要があります。

(3)社員説明会の開催
導入する際は、社員説明用の資料を作成し、周知するための説明会を実施するとともに、質問を受け付けます。この際、説明会実施後のアンケートを実施するとよいでしょう。説明会で質疑応答を受け付けるだけでは質問しづらいため、社員の理解が促されません。アンケート内容に応じて回答集を作成し、配布することで説明会よりもさらに踏み込んだ会社の考え方を伝えることができます。
(4)個人への通知

最後は、新しい制度における個人の「新等級・新役職」「新給与」などを通知する必要があります。特に賃金は、社員の生活に大きな影響を与えます。確実に、丁寧な説明を行ってください。

ここまで賃金制度について、重要な7つのポイントで解説してまいりました。 賃金制度に、どこの企業にも当てはまる正解はありません。自社の方針や実状に沿った賃金制度を構築することが肝要です。

人事コンサルティング支援について

人事戦略研究所では、人事評価・賃金制度設計から運用支援まで、各種人事コンサルティング支援を行っております。ご相談は無料です。まずはお気軽に お問い合わせ ください。

執筆者

川北 智奈美 
(人事戦略研究所 マネージングコンサルタント)

現場のモチベーションをテーマにした組織開発コンサルティングを展開している。トップと現場の一体化を実現するためのビジョンマネジメント、現場のやる気を高める人事・賃金システム構築など、「現場の活性化」に主眼をおいた組織改革を行っている。 特に経営幹部~管理者のOJTが組織マネジメントの核心であると捉え、計画策定~目標管理体制構築と運用に力を入れている。