キャリアパスの見える化⑩

これまでのブログでは、キャリアパスの見える化に向けて等級・役職フレームの組みたて方をお伝えしました。等級・役職フレームを整備することで、社員から見てキャリアアップの「道筋」はわかりやすくなるでしょう。ただ、本当の意味でキャリアパスの見える化を目指すためには、等級・役職フレームの整備だけではまだ不十分です。

社員が本当に知りたいことは、
 

  •  キャリアアップするとどんな仕事ができるのか?
  •  何ができるようになれば、キャリアアップできるのか?

 
といった点です。今回からは、上記2点を見える化するために必要な取り組みをお伝えしていきます。

 

〇等級基準書で求める要件を具体化する

 等級基準書とは、会社が社員に求める要件(行動、能力、知識など)を等級ごと具体化したものです。等級基準書を作成することで、
 
 ・会社が何を求めるか、社員が認識しやすくなる
 
 ・昇格するために、何をレベルアップしなければいけないかイメージしやすくなる。
 
といったメリットがあります。このようなメリットを活かすことで、社員からみてキャリアパスがより見える状態を実現していきます。

 

〇作成時の4つのポイント

等級基準書を作成する際のポイントを整理すると、以下の4点があげられます。
 

  •  ①等級判定ができるように、仕事レベルに差が出やすい事柄をベースにすること
  •  ②社員が理解できるように、日常用語や業務用語をなるべく織り交ぜること
  •  ③理想に走りすぎず、現状より少し手を伸ばせば届くレベル感を意識すること
  •  ④陳腐化しないように、作成後も定期的なメンテナンスを行うこと

 

社員に求める要件を具体化していく過程は、お察しの通り相応の時間を要します。労力をかけて作成しても、上手く活用できなければ、前述の目的は達成できません。次回以降は、なぜ上記4点がポイントになるのかを実例も交えながら丁寧に解説していきたいと思います。

執筆者

岸本 耕平 
(人事戦略研究所 シニアコンサルタント)

「理想をカタチにするコンサルティング」をモットーに、中堅・中小企業の人事評価・賃金制度構築に従事している。見えない人事課題を定量的な分析手法により炙り出す論理的・理論的な制度設計手法に定評がある。

※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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