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評価制度の改善に着手する前に②

2021年12月10日 カテゴリ:人事考課(人事評価)

執筆者:川北 智奈美

人事戦略研究所 シニアコンサルタント

飲食・ホテル業界での経験を活かし、現場のモチベーションをテーマにした組織開発を中心にコンサルティング活動を展開中。トップと現場の一体化を実現するためのビジョンマネジメント、現場のやる気を高める人事・賃金システム構築など、「現場の活性化」に主眼をおいた組織改革を行っている。特に「サービスは心から」をテーマに現場スタッフのサービスマインドを高める教育システム構築に力を入れている。 ICF(国際コーチ連盟)認定プロフェッショナルコーチ

前回に引き続き、評価軸があいまいで社員の納得が得られていない、という事象が生じているケースにおいて、評価項目の改定に着手する前にご検討いただきたい観点について、少し掘り下げてみたいと思います。

評価のフィードバックが滞っている、フィードバック力が弱い、などの問題が生じる原因として、以下のような点を挙げていました。

①評価者が、そもそもフィードバックの目的やゴール、進め方などを理解していない。
②評価者が評価項目の内容、意図を正しく理解していない(共有できていない)。
③フィードバック時に、評価者のコミュニケーションの取り方が一方的、または押し付けの発言が多く、被評価者が納得できる面談になっていない。
④そもそも評価者である上司と部下の間に信頼関係が成り立っておらず、部下の「面談臨む姿勢」が整っていないため伝わらない。

上記のうち、④は制度運用から少し遠いテーマのため今回は記述しませんが、①、②、③を改善するために考えられる手段をいくつかご紹介しましょう。

例えば、
・評価者に、フィードバックの目的・ゴール・進め方等について、研修やレクチャーなどを通じて一通り理解してもらう。
・人事評価制度における評価者の果たすべき役割について、あらためて説明し理解を促す。
・面談において、部下と話す内容の準備と面談結果が記録できるツール(フィードバックシートやファイル)を作成し、その流れで面談を実施の上、人事部に提出してもらう。
・評価者同士で評価項目の読み合わせを行う機会を定期的に設け、①評価項目の意図の確認、②役割や等級によって求めるレベルの具体例を共有、など理解を深めていく。
・評価面談のロールプレイングを実施し、評価者全体で相互に観察して改善点を出し合う
・部下とのコミュニケーションの取り方を学べる研修を受講してもらう。

などの方法が考えられます。

ただ、いずれも実施したからと言って即時効果が出てくるものではありません。何度も形や伝え方を変えながら、継続してスキルアップを図っていくことが重要です。
このほか、毎年のフィードバック面談終了後に社員アンケートを行い、実施状況や社員の意見を集め、問題と思われる事象があれば都度必要な手を打つ、といったことを繰り返し、改善を続けていくことも制度定着のために必要なことです。

私個人の経験ですが、ご相談を受ける「人事制度がうまくいっていない」というケースの半分程度は「制度上の問題(ハード面)」が先行課題ではありますが、残りの半分は「運用上の問題(ソフト面)」の方が大きいと感じています。
ただ「運用上の問題」については何らかの施策を講じても、一定の効果が出てくるまでに手間と時間を要します。人事を担う者としては「社員さんの不満」を早く解消したいがゆえに、ついつい「制度上の問題」を解消する方向に舵を切りたくなります。
しかしながら一度立ち止まり、本質的な課題はどこにあるのか、ソフト面で改善すべきことはないのか、再度見直してみることも必要ではないでしょうか。

評価者の育成には時間がかかりますが、続けていくことで成果が出てきます。人事制度はあくまでもツールであり、それ自体を扱う「評価者」=「上司」が機能しなければ、どんな緻密な制度を作成してもうまくいかないのだ、ということを念頭に置きつつ、よりより制度運用につなげていただければと思います。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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