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二項対立で考える③

2019年11月01日 カテゴリ:戦略的人事

執筆者:飯塚 健二

人事戦略研究所 マネージャー

独立系システム開発会社にてSE・人事・経営企画等の実務を経験。その後、大手金融系シンクタンク、監査法人系コンサルタント会社にて人事コンサルティングに従事した後、現職。中小企業から大手企業まで規模を問わず幅広い人事・人材育成コンサルティング実績を持つ。 経営戦略の実現に向けた人事制度改革・定着化や要員・人件費マネジメント等のハードアプローチに加え、言語科学や行動科学の知見を活かした人材開発(コミュニケーション研修やビジネススキル研修、コーチング・ワールドカフェ等)を手掛ける。iWAM®認定マスター107-0001取得。

前回までに引き続き、人事戦略や施策を検討するときによく直面する二項対立をご紹介したい。前々回は「時間軸」として「短期的な視座」と「中長期的な視座」について触れ、前回は「空間軸」として「全体」と「要素」について触れた。

今回は、「人間観」について触れてみたいと思う。

人間観、つまり社員に対する基本的考え方については、様々な観点があるが、ここでは、X理論Y理論から考えてみたい。X理論Y理論については、既知の方も多いと思う。1950年代後半にアメリカの心理・経営学者ダグラス・マクレガーによって提唱された考え方で、「人間は本来怠け者で、強制されたり命令されたりしなければ仕事をしない」とするX理論と、「人間は本来勤勉で、自己実現に向けて自ら進んで行動を取ろうとする」Y理論とがあるという考え方である。

当然、人事施策を検討する際に、どちらの考え方に依拠するかによって様相は異なってくる。 X理論に立つと、何でも細かなルールを設定し社員の行動を規定しようとする。誰かが失敗するとそれに対する対策としてルールが追加される(資料の紛失があったので資料の持出しを原則禁止するなど)。あるいは減点主義。何か間違いを犯したり、失敗したりすると、悪い評価をする。目標を達成しなければペナリティを与える等々。そこまでいかなくても、当たり前のことを当たり前にやっても評価せず、少しでもダメなことがあると悪いレッテルを貼る。特に製造職や事務職などでよく耳にする。

一方、Y理論に立つと、社員の自主性や責任感を信じ、細かなルールは極力避けて裁量を与える。本来の目標管理制度を導入して、社員の自主性を喚起する。あるいは、加点主義。既定の評価項目だけでは評価しきれないこと(改善提案やQCサークルなどの自主活動等々)を加点評価する。普段目立たないことに光をあてる表彰制度。また最近話題になっているティール組織も挙げられるだろう。

このように述べると、Y理論の方がよさそうに見える。ところが、社員規模が拡大して様々な価値観を持つ人が増えると、問題行動を起こす社員も同時に増えるリスクが高まる。また、コンプライアンスの重要性が高まり、一歩間違えれば会社への損害が大きく、致命傷にもなり兼ねいとなると、社員の行動を規定し、罰則を強化することが必要になってくる。ここにジレンマが生まれる。

Y理論に立った施策を基本としながらも、X理論に立った施策を必要に応じて講じる。このバランスに留意しておくことが肝要である。貴社の人事施策が、どちらかに偏り過ぎていないかチェックしてみてはいかがだろうか。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。

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