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積立不足の償却はどれくらい必要か?

積立不足の償却はどれくらい必要か?
まず言えることは、8,800万の積立不足を一括して償却するというのは、わが社にとっては非常に難しい話です。利益が年間1,500~2,000万円程度で推移しており、この上積立不足償却費用となると、赤字になってしまいます。当社にとってはケース1を採用するのは、まず無理と考えたほうがいいと思います。  そこで、ケース2あるいはケース3のどちらかの採用ということになりますが、ケース2というのは適格年金が一部残ることになりますよね。これでは適格年金移行問題に対処したことにならないと思うのですが... またケース3ですと、現在の適格年金資産をそのまま確定拠出年金に持ち込むことができ、移行はしやすいのですが、これまでの積立不足分は一体今後どのような扱いになるのでしょうか。先ほどの説明ですと、不足対象額は4,300万円になるとのことですが・・・。

ご指摘のとおりです。それぞれのケースごとに確認してみましょう。積立不足が多額の適格年金において、ケース1を採用できるのは高収益で償却に要する資金も準備できる一部の優良企業に限られることと思います。もしケース1で移行すれば、費用は一時的にかさむけれども、退職給付債務(1月号P81)の削減効果があり、財務体質はかなり改善されることでしょう。積立不足を一括拠出負担する体力があれば、ケース1は最も優れた移行方法といえます。

次にケース2をみてみましょう。ケース2の場合は追加拠出をすることなく、確定拠出年金に移行できますが、難点としては一部適格年金が残ってしまうことです。残った適格年金はいずれ他制度に移行しなければならないことは変わりないのですから、2段階で移行を進めるイメージとなります。実際の移行事例をみると、従来の適格年金の一部は確定拠出年金に移行し、残った部分は将来確定給付企業年金に移行するというパターンが多いようです。これを採用しているのは大手企業が中心です。大手企業は退職金・年金の水準そのものが2000~3000万と一般の中堅・中小企業の水準よりも高く、確定給付+確定拠出の2本建て制度等の組み合わせが可能だと考えられます。しかし、貴社はこのようなケース2では当初の問題を解決したことになりません。

ケース3の場合も追加拠出は不要です。またケース2のように適格年金が残ることはありません。両面から最も良いように思われるでしょう。しかし、ご指摘のように、全額移行とはいえ、このままでは積立不足を残したままでの移行となってしまいます。そこで新法では、この不足分に相当する部分はその後分割して償却することが認められました。分割期間は4~8年での選択となります。正確には、これは不足分の償却ではなく、現在資産残高をいったん切り離して確定拠出年金に移行し、残った積立不足分は一時金制度が残ったものとみなすことにより、一時金制度から確定拠出年金への移行の手法を用いることとなります。 つまり2つの移行の「合わせ技」により、結果として不足分は4~8年かけて分割して償却ということになるわけです。