ホーム > 人事制度ノウハウ> 退職金の問題と改革(Q&A)> 移行先を絞り込みするには?

業種別人事制度ノウハウ集
労働法実務入門シリーズ
人事テーマ別ノウハウ集
 

人事評価・賃金制度

 
 

退職金・再雇用(雇用延長)制度

 
 

その他人事テーマ

 
人事制度ノウハウ レポート集

移行先を絞り込みするには?

移行先を絞り込みするには?
前回の確定給付と確定拠出の解説は、基本的な仕組みという点で両者の性質の違いがよく分かる内容でした。さて自社の適格年金の移行先としては我々スタッフ間では中退共を考えていますが、トップは確定拠出に興味を持っているようで、場合によっては確定拠出年金も検討しなければならないと思っています。ちなみに確定給付年金のことを伝えたところ、これまでの適格年金より運営が厳しくなり、コストもアップするのであれば対象外との意向でした。そこで、この2つに絞り込んで検討を進めていきたいのですが、いかがでしょうか。
■業種    製造・加工業
■社員数   120人
■創業    昭和35年
■退職金制度の内容

  ・100%適格年金
  ・算定方法
  ・定年退職の選択一時金
  ・現在の要支給額
  ・適格年金
基本給×勤続別支給率
           1,200万円
会社都合   3億6,500万円
自己都合   2億1,300万円
資産残高   1億7,000万円
積立不足      8,800万円

絞込みといっても、実質的な移行先としては確定拠出・確定給付・中退共の3つですね。その中でも、確定給付企業年金は見送りという判断となったようです。では確定拠出年金と中退共の両者への移行を並行して検討してまいりましょう。 まず、貴社の企業概要及び適格年金財政は次の通りだと聞きました。 これを分かりやすいように【図表1】にしました。なお、図は詳細は省いて簡略化しています。

貴社の制度の主な特徴としては、  かつての退職一時金制度はすべて適格年金に移行している(適格年金100%)  自己都合要支給額と適格年金資産残高を比較すると、43百万の差がある  また、適格年金の財政状況は、積立不足(約34%)となっている。 ということが挙げられます。

【図表2】に確定拠出年金と中退共への移行時の留意点を比較していますので、順を追って解説していきますね。

【図表2 適格年金からの制度移行に関する確定拠出年金と中退共の比較】

  確定拠出年金(企業型) 中共退
移換限度額 拠出限度額*1過去勤務期間
(過去法定利率での運用利息を加味したもの)*2
個人別掛金と過去勤務期間による引渡し額(中退共引渡しテーブルによる)
移換の対象となる資産 自己都合要支給額と移換限度額を比べて低い方の金額
労使合意要件 加入者の2/3以上の同意及び加入者の1/3以上で組織する労働組合の同意
(加入者の2/3以上で組織する労働組合の同意で代替可)
退職金規程の変更手続きによる
(水準見直し等がなければ労使合意要件はない)
移行手続き 適格年金規約の変更・解約届出
確定拠出導入にあたって規約の作成届出、厚生労働大臣の承認
適格年金規約の中退共引渡し届出
適格年金の条件 適格年金に積立不足がないことが前提 適格年金の財政状態を問わない
移行後制度の形態 適格年金給付減額により一部資産を移換した場合、残りの部分の制度対応は別途必要 積立不足のまま引渡しした場合、残りの部分の制度対応は別途必要
*1  拠出限度額
他の企業年金がない場合 年43.2万円、ある場合年21.6万円(平成16年2月現在の額、今年の税制改正でそれぞれ、年55.2万円、年27.6万円となります)
*2  今年の法改正により、移換限度額は撤廃となる方向です(表1入る)