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「受給権の保護」について

「受給権の保護」について
たしか前回の解説の中で、積立不足を発生させやすい適格年金への反省から、確定給付企業年金では受給権の保護のために積立義務が強化されたとありましたね。確かに社員の側から見れば、受給権が保護されることは良いことだと思うのですが、逆にいえば企業側の負担が増えるということでしょうか。新法ではどのような義務が課されているのですか。

新しい確定給付企業年金の基本精神が「受給権の保護」にあること、そのための仕組みとして「受託者責任」「積立義務」「情報開示」が盛り込まれていることすでに述べたとおりです。ここでは、経営サイドにとって最も重要、そして適格年金との最も大きな違いでもある「積立義務強化のための財政検証の仕組み」を確認しておきますね。財政検証は「財政再計算と財政決算」の2つから成り立っています。

(1)財政再計算(確定給付企業年金法 第58条)
・・・将来にわたって健全な財政が保てるよう5年に1度再計算を行い、掛金等を見直す

(2)財政決算(同法 第61条)
・・・毎年の決算にて、予定した積立ができているかどうかを一定基準によってチェックし、不足の場合には掛金アップなどの措置を取る

実はこのような財政検証の仕組みは厚生年金基金に適用されており、規約型とはいっても、積立義務に関しては厚生年金基金並みの厳しさがあるといえます。確かに、こうした財政検証をすることにより、年金財政は安定し、適格年金のときのような積立不足は生じにくくなりますね。しかし、現在のような低金利の時代でしかも運用環境が低迷している時には、財政検証による企業負担はかなり増えるでしょう。もし確定給付企業年金の導入を考えるのであれば、受託金融機関にコストの試算をしてもらった方がいいと思います。

規約型年金では、他にも適格年金との違いに着目すると、

  • 給付設計には、老齢給付金と脱退一時金を設けなければならない。(適格年金は任意設定)
  • 給付方法として、キャッシュバランスプラン(金利等との連動による給付額の設定)が採用できる

などの特徴があります。また受託金融機関に支払う制度運営コストは、社員数に関係なく固定コストとして発生する部分が大きく、一般に社員数が少ないほど割高となることにも注意が必要です。実際に確定給付企業年金を採用している企業は、現在のところは一部の大手企業に限られているようです。