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適格年金の財政が悪化すると...?

適格年金の財政が悪化すると...?
企業年金って本当に恐ろしいんですね。これほど大きな問題があるのに、今まであまり内容を知らなかったのが恥ずかしいくらいです。もっと勉強しないといけないことが分かりました。ところで、適格年金はもしこのような積立不足があった場合には、必ず穴埋めしないといけないことになっているのでしょうか。掛金のコストを抑えるために、もし放置しておいたらどうなるのでしょうか。

「もっと勉強しないといけない」というのは良い心掛けだと思います。実際には、企業年金の担当者でも、その専門的内容についていけずあまり中身を把握していない人も多いのです。また受託機関(生命保険会社・信託銀行)の方でも、あまり懇切丁寧には説明していないようですね。なぜだかわかりますか?

受託機関は単に運営を請け負っているだけでなく、実際に資金運用をしているのですが、今のような低い運用実績では契約企業に実質的な損失を与えているとの見方もできます。ですから生保などの担当者もあまり積極的には情報提供をしてこないようです。であればなおさら、年金のしくみや財政状態を理解しておかなければなりませんね。

ところでご質問にあるように、適格年金の積立不足の償却については、受託機関との契約内での個別の決め事になりますので、穴埋めの義務に関しての公的な規定はありません。逆にその部分が弱かったために適格年金そのものが制度疲労を起こしたともいえます。新しい確定給付企業年金では、適格年金への反省から、このような積立不足を放置させないために「受給権の保護」として積立義務が強化されることとなりました。【図表4】

また「積立不足を放置しておくとどうなるのか」についてですが、確かに掛金を一定に抑えながら適格年金を継続することは不可能ではありませんが、それは本来積み立てておくべきカネを出し惜しみして先送りしているだけのこととなります。

【図表2】の年金財政の決算書にある「責任準備金」というのが現在確保しておくべき金額ですので、それを放置しておけばおくほど、将来に負担がかかることとなります。財政の健全化という点では、はやり必要資金はきちんと積み立てておくべきです。

なお、責任準備金は基礎率次第で変わってきます。責任準備金の計算は、

将来入ってくる給付額の現在価値 - 今後見込まれる掛金の現在価値

から算出されることとなっています。そこには、将来どれくらの退職発生見込みがあるか、どれくらいの昇給見込みがあるか、など基礎率が設定されており、基礎率が果たして適正かどうかは受託機関に対して見直しをかけてもよいでしょう。もしかしたら、現実とかけ離れた基礎率となっているため、見た目の積立不足が膨らんでいらぬ心配をしているかもしれませんよ。

このようなカラクリを知った上で、私どもには積立不足に対しどう対処すべきかの相談が頻繁に持ち込まれます。特に適格年金の移行問題を意識した上で、今掛金を上げるべきか維持すべきかは経営判断を要するところです。

私どもでは、「見た目の積立不足に惑わされずに、本質的な問題解決をすべきである」ということを根本に据えながら対策を考えています。