ホーム > 人事制度ノウハウ> 退職金の問題と改革(Q&A)> 規定で押さえるべきポイントは?

業種別人事制度ノウハウ集
労働法実務入門シリーズ
人事テーマ別ノウハウ集
 

人事評価・賃金制度

 
 

退職金・再雇用(雇用延長)制度

 
 

その他人事テーマ

 
人事制度ノウハウ レポート集

規定で押さえるべきポイントは?

規定で押さえるべきポイントは?
先生のおっしゃる「魂の入っている」という意味はわかったような気がします。さて、もう少し規程について分析を進めたいのですが、規程でまず押さえるべきポイントはどこでしょうか。どうも法律の条文みたいな文章は、不慣れなせいもあって読む気にならないのですが...

人事部に配属されたんですから、これからは社内の制度の番人ですよ。とっつきにくいかもしれませんが、がんばってください。まず以下の点をチェックしてみましょう。

【退職金規程のチェックポイント】

(1)誰を適用対象者とするか(通常、正社員以外のパート・アルバイト、嘱託などは対象外)
(2)支給対象開始はいつからか(勤続満3年以上 など)
(3)どのように計算するか(基本給×勤続年数別係数による方式か、ポイント制か など)
(4)会社都合と自己都合の区別方法とその格差
(5)外部積立方法や年金規程との関係

上記以外にも「勤続年数の端数処理」「解雇等による不支給に関する項目」「遺族への支給順序」等、様々な取り決めがありますが、会社によってそれほどの違いはみられません。上記の(1)(2)はすぐにわかりますね。そこで、(3)(4)(5)について、もう少し詳しく解説しましょう。

(3)算定式に関する項目
退職金の金額を決める要の式です。最もオーソドックスな旧来型の算定式は、

となっています。なお、条文にはAだけが算定式として記載され、Bは別に記載してあるパターンもあります。この形を基本形とすると、類似したいくつかのバリエーションがみられます。特に、Aの「退職金基礎額」の部分に関しては、そのバリエーションは次のとおりです。

・基本給

・第一基本給

・基本給+役職手当

・基本給のうち年齢給+職能給

・基本給×80%

基本給の占めるウェイトや意味づけ・位置づけによって、算定基礎への組み込み方が変わってくる様子がわかります。  また「勤続年数別係数」のほうでは、

・勤続年数ごとに、別途係数を設けているもの
例)勤続10年 → 係数6.5

・勤続年数×乗率によるもの
例)勤続10年の場合 → 10×0.6=6.0

・5年勤続単位ごとに区分しているもの

・1年勤続単位ごとに区分しているもの

といった設定方法のバリエーションがあります。またこの係数は、「会社都合」「自己都合」によって係数が違う設定となっているものもあれば、自己都合の場合には、さらに会社都合に一定率をかけて算出する方法もあります。 少しややこしくなってきましたので、各項の特徴についての把握の仕方を見てみましょう。

【基礎額】に関して
規程で定義づけられている基礎額を社員全員分を取り出し、横軸に年齢を、縦軸に基礎額をとった散布図のグラフにすることをおすすめします。【図表2】それによってバラつきや傾向がわかります。

【係数】について
多くの規程ではCの部分だけで一挙に計算をしてしまうと、勤続年数を基準とした一定率となるケースが多いので、ここでは「会社都合」「自己都合」の2本立てで、勤続年数による支給率の変化をグラフにします。例えば、【図表3】のような規程では、自己都合は、「会社都合の際の支給係数×勤続年数にもとづく自己都合係数」により求められることとなります。

ここまで計算ができれば、ぜひパソコンの表計算ソフトを使ってグラフにしてみてください。支給の考え方がグラフから読み取れることと思います。【図表4】

ここで、支給率の設定の仕方にはいくつかのパターンがみられますので、自社はどれに近いか比較してみてください。【図表5】係数のタイプから言える特徴としては、勤続年数が上がれば上がるほど係数にて優遇される「年功優遇の色彩」が強いかどうかがうかがえるでしょう。

なお、今まで述べた算定式はオーソドックスな旧来タイプの式でしたが、その他にもポイント制や別テーブル方式、勤続年数別定額制などがあります。この「その他」の方式は、それまでの旧来方式とは違い基本給の変動に左右されません。したがって、基本給から切り離されているという意味で、私共では『基本給離脱型』と呼んでいます。【図表6】

基本給離脱型が必ずしも良いとは限りませんが、基本給連動型の場合、例えば昇給決定の際、退職金への影響を避けるために本来上げるべき基本給をあえて上げずに、手当てなど別に昇給の場を設けるような小手先の工夫(?)が行われたりします。しかし、いくら小手先で操作できたとしても、本来の基本給が基本給として機能しないなんて、やはりおかしいと思いませんか?

【図表6 絶対的記載事項と相対的記載事項】

  旧来型(基本給連動型) 基本給離脱型

◆退職時基礎額 × 勤続年数別係数 ◆ポイント制
◆別テーブル方式
◆勤続年数別定額方式   等

基本給に左右される。
基本給が年功序列か、実力主義かによって、退職金の性格が変わる
基本給の変動に左右されない。旧来型よりも、貢献度をより強く反映した設計が可能となる。

(4)会社都合と自己都合の区別、および格差
【図表5】のグラフに表れているように、会社都合と自己都合は、最後まで平行曲線をたどるタイプと最終的には一致するタイプに分かれます。60歳定年制を想定した場合、55歳以降で「自己都合退職」というのはまず起きえないことかと思いますので、実際には、40歳代後半~50歳代前半の格差のありようによって規程の性格が分かれるようです。

(5)外部積立方法や年金規程との関係に関する項目
規程分析に関して最後に注目してほしいのは、外部積立方法及び年金規程との関係性に関する項目です。これについては、既に前回の解説の中で「一時金と年金」「内枠と外枠」という説明をしましたね。多少重複になりますが、大事な部分ですのでしっかり押さえてください。【図表7】

以上を押さえることができれば、退職金規程はほぼ読めたことになるでしょう。