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確定給付と確定拠出、違いのポイントは?

確定給付と確定拠出、違いのポイントは?
確定拠出年金が日本版401kと呼ばれるものですね。それぞれに難しい名前が付いているので、まだまだ理解不十分ですが、おおよその流れは把握できました。先ほど出てきた中で、確定給付型と確定拠出型について説明がありましたが、もう少し運用に対する考え方などを詳しく教えて下さい。

まず、確定拠出と確定給付の考え方の違いを理解しておきましょう。

従来のわが国の年金制度は全て確定給付(給付建て)の考え方で実施されてきました。それは、【図4】のように、退職金・年金制度によって従業員の支給額がいくらになるかを予め計算し、それを数理計算という特殊な技法を用いて計算することによって、月々の掛金が逆算されて決まるというものです。ですから、退職率、昇給率、運用利率等、全てにおいて「予定」を組み、そのとおりに推移すれば問題なし、しかし予定からの狂いが生じると前提が崩れ、掛金の見直しをせざるを得なくなります。現在のような低金利下では掛金はコストアップする傾向にあります。

一方の確定拠出(掛金建て)の考え方は、モデル設計をもとに計算された拠出金の方を規定として定めます。
その結果最終的にいくらの給付になるかは、その時その時の運用状況によって変わってきます。【図5】

入り口(拠出時)を固定するか、出口(給付時)を固定するかの違いと思えば、分かりやすいかもしれません。

確定拠出年金制度

日本版401kと呼ばれるように、アメリカで普及した"年金制度401k"を参考に法制化されました。その主な特徴は次のとおりです。

(1) 企業型と個人型がある
企業の退職金・年金制度の延長上としての「企業型」だけでなく、新法では個人事業主など個人の任意での加入を可能とする「個人型」も併設されています。以下、特に注釈しない限りは「企業型」を前提に説明しています。

(2) 企業型の掛金は事業主しかできない
これまでの適格年金や厚生年金基金は従業員の拠出が認められていましたが、確定拠出年金では従業員拠出は認められていません。

(3) 個人別の管理口座にて資産管理する
個人ごとに決められた額をいったん企業が拠出すると、あとは個人別の口座に資産が管理され、その元本と運用益が蓄積されていきます。資産の運用の指図は従業員によりなされることとなります。ここが確定拠出年金の「自己責任性」が問われるゆえんです。従業員に自己責任を持たせるので、企業側は投資教育をはじめとした一定の教育を施さなければなりません。

(4) 60歳に到達しないと受給できない
確定拠出年金ではいくつかの例外を除いて、60歳までは資産の引き出しができません。すなわち退職の事実と支給が切り離されることとなることが、従来の年金制度との大きな違いです。

(5) ポータビリティがある
これまでの退職金制度はいわゆる年功序列型の設計思想が根本にあり、転職すればそれまでを清算し、また勤続年数ゼロからのスタートとなるため中途入社組には不利な制度となっていました。しかし、本制度では転職先にも同制度があれば、引き続き継続加入ができます。いわば資産を持ち運びできるのです。これを「ポータビリティ」と呼びます。

確定給付企業年金

確定拠出年金法制化の半年後の2002年4月より、確定給付企業年金法(以下、「確定給付」)が施行されました。

確定給付企業年金は、従来の適格年金や厚生年金基金と同じく、最終的な給付額の算定式を決めておき、その資金保全のために積立金を逆算して運営します。(図3参照)その形態としては、「規約型」と「基金型」とがあり、前者は現在の適格年金とほぼ同じ仕組みと考えられますし、基金型は厚生年金基金から代行部分をとったものとイメージしてください。ただし、適格年金のほうは制度そのものがなくなるのに対し、厚生年金基金は制度存続はできますので、適格年金の消滅後は、2つの確定給付企業年金(規約型と基金型)および厚生年金基金、それに確定拠出年金を加えた4本建ての企業年金体系となります。

確定給付企業年金新法の特色は、従来にない「受給権の保護」が謳われていることです。これまでの適格年金はこの点があいまいなため、積立不足の償却(穴埋め)は事業主の任意によるところが大きかったのですが、その反省もあって新法では受給権を保護するために (1)積立義務 (2)受託者責任 (3)情報開示 の点から従来にもまして厳格に運用することが求められています。

さらに、この新法では確定給付であるにもかかわらず、金利との連動による利息給付といった確定拠出の要素をもった「キャッシュバランスプラン」といわれる仕組みが可能となりました。