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NTT西日本の子会社契約社員雇止め裁判について

2018年01月05日 カテゴリ:労務関連

執筆者:森中 謙介

人事戦略研究所 コンサルタント

大学院では会社法務・労働法務を中心とした法律学の研究に従事。新経営サービス入社後は、主に中堅・中小企業を対象とした人事評価・賃金制度構築のコンサルティングを行なう。労務管理の分野にも精通し、最近では「残業削減」をテーマにしたセミナーや雑誌記事の執筆「改正労基法への実務対応①~④(人事マネジメント誌)」など、精力的に活動している。

非正規社員の雇止めに関するニュースが相次いでいる。

直近では、年末にNTT西日本の子会社「NTTマーケティングアクト」の契約社員が「雇止め」について争った裁判において、「雇止めを無効」とする判決が出された(岐阜地裁、2017年12月25日)。

有期雇用社員の雇止め事案自体は決して珍しいものではないが、2018年は無期転換の申込権が発生する年であるだけに、これから同様の対応を迫られる各社にとって、少なからぬ影響が予想されるところである。

ここで改めて「雇止め」に関する基本事項の確認をしておきたい。

本件の判決理由である「契約更新は長期間にわたって反復しており、契約更新への合理的な期待があった」の部分は労働契約法19条(下記)2号に関する判断である。

 

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【労働契約法19条】

有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

 

一  当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

 

二  当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

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 また、契約更新に関する、より実務に近い基準に関しては、下記の厚労省告示が指針になっている。

 

【「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」より抜粋(詳細は厚労省リーフレット参照)】

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1.契約締結時の明示事項等

(1)使用者は、有期契約労働者に対して、契約の締結時にその契約の更新の有無を明示

しなければなりません。

(2)使用者が、有期労働契約を更新する場合があると明示したときは、労働者に対し

て、契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければなりません。

(3)使用者は、有期労働契約の締結後に(1)又は(2)について変更する場合には、

労働者に対して、速やかにその内容を明示しなければなりません。

 

2.雇止めの予告

使用者は、有期労働契約(有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて

継続して雇用されている労働者に限ります。なお、あらかじめ当該契約を更新しない旨

明示されているものを除きます。)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満

了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません。

 

3.雇止めの理由の明示

使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、

遅滞なくこれを交付しなければなりません。

また、雇止めの後に労働者から請求された場合も同様です。

 

4.契約期間についての配慮

使用者は、契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇用している有期契

約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じ

て、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。

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今年が無期転換の申込権が発生する初年度ということに加え、同一労働同一賃金の絡みや、非正規雇用に関する社会的関心が再び高まっていることも相まって、今後有期契約社員の雇止めに関する事案は確実に増えることが予想される。

個々の事案において裁判まで発展することや、裁判においてもより厳密に雇止めが判断されることになると考えられるため、各社においては該当社員(特に今年~来年に無期転換権が発生する社員)への丁寧な説明・対応含め、有期契約社員に対する契約更新の手続き全般について、社内の運用基準が適正かどうかの見直しを再度行っていただきたい。

 

 

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。