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時短による残業代減少分を社員に還元する方法

2017年06月10日 カテゴリ:人事制度

執筆者:山口 俊一

人事戦略研究所 所長

人事コンサルティング、講演、執筆活動を中心に活躍している。職種別人事をベースにした独自の発想と企業の実状に沿った指導により全国からコンサルティング依頼を受け、定評を得ている。現在までに中小企業から一部上場企業まで、200社以上のコンサルティング実績を持つ。主なコンサルティングテーマは人事評価・賃金制度の構築、組織運営など。

働き方改革の目玉として、長時間労働の是正が進められています。

ところが、残業削減による収入ダウンという問題を放置すれば、社員が労働時間を減らそうとする意欲を削いでしまう懸念があります。

そこで、残業代減少分を社員に還元する方法を考えてみましょう。

 

IT企業のSCSKが、残業代が減った分は賞与で還元するしくみを導入して、話題になりました。紳士服販売会社の はるやまホールディングスは、月の残業時間がゼロの社員に1万5000円のノー残業手当を支給し、時間外労働の削減に取り組んでいます。

しかし、企業にとっては、労働時間が減少した分、業績が下がっては困ります。そのため、「生産性が上がっている」あるいは「業績が維持・改善されている」ことを条件として、社員に還元されるしくみが有効でしょう。

たとえば、「労働時間を削減して残業代が減った分は、利益が維持できている限り、全額を賞与に上乗せします」といった制度です。

 以下は、残業代削減分を賞与時に、社員へ還元する制度事例です。

 

<残業代還元賞与例>

1. 前期並みの利益(たとえば営業利益1億円)確保を前提として、時短により減少した残業手当総額(たとえば年間1000万円)を全額社員に賞与として還元する。利益が減少した場合でも、一定範囲内であれば、役員会により還元額を検討する。

 

2. 社員への配分方法は、

 各人ポイント×単価(総額÷全社員のポイント総計)

 

3. 各人ポイントは、以下(1)~(4)の合計

ポイント(1):月平均の個人残業代減少額により、1万円=1P(増加者は0P)

ポイント(2):今期の個人平均残業時間により、20H以下3P 30H以下2P 40H以下1P

ポイント(3):個人ごとの生産性評価により、A評価2P B評価1P C評価0P

ポイント(4):所属部署ごとの生産性評価により、A評価2P B評価1P C評価0P

<(4)についてのみ、管理職にも×2倍のポイントを付与>

 

全社の残業代削減総額を、各人ごとの時短度合や生産性評価によるポイントに沿って、分配するしくみとなっています。

生産性評価については、部署ごとに指標や評価基準を設定することになります。

 たとえば、個人ごとの生産性評価であれば、

  生産性=アウトプット(売上や利益、業務量、難易度)/インプット(労働時間)

 

について、同ランクの社員と比較して高いか、昨年までと比較して改善しているか、といった評価を実施します。

企画部門や事務部門については、アウトプットを数値化するのが難しく、感覚的な判断とならざるを得ないかもしれません。しかし、これまでも明確な基準の有無はともかくとして、各人に対して「仕事が早い」「業務品質が高い」といった評価は行われてきたはずです。これを機に、「この部署が求められているアウトプットは何か」を再度考えてみてもいいのではないでしょうか。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。