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労働基準法違反に関するトピックス

2016年03月07日 カテゴリ:労務関連

執筆者:森中 謙介

人事戦略研究所 コンサルタント

大学院では会社法務・労働法務を中心とした法律学の研究に従事。新経営サービス入社後は、主に中堅・中小企業を対象とした人事評価・賃金制度構築のコンサルティングを行なう。労務管理の分野にも精通し、最近では「残業削減」をテーマにしたセミナーや雑誌記事の執筆「改正労基法への実務対応①~④(人事マネジメント誌)」など、精力的に活動している。

去る2月23日、厚生労働省から「平成27年度過重労働解消キャンペーンの重点監督の実施結果」が公表されました。(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000113029.html

同調査は2013年から実施されている、労働基準法違反の疑いがある企業への一斉立ち入り調査であり、今回の調査では対象5,031事業場のうち3,718事業場で労働基準関係法令違反が確認されており(全体の73.9%)、約半数にあたる2 ,311 事業場で違法な時間外労働が認められ(全体の45.9%)、それぞれ是正に向けた指導が行われたとのことです。同調査の対象は主として中小企業ですが、いかに労務管理体制が脆弱であるかを物語っています。厚生労働省では平成27年4月1日付で「過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」」を発足するなど、ここ数年企業への監督強化を図っています。営業等でお伺いする企業でも、最近労働基準監督署の調査が入ったという企業が大幅に増えている感覚があります。5年前と比べると3~4倍くらいでしょうか、行く先々で話題に上がるようになってきています。
こと残業問題に関して、企業は「時代が変わった」のだと認識すべき時期にきていると考えます。「残業代なんて正直に払っていたら経営が成り立たない」というのが本音だとしても、働く人の意識も変化してきており、労務管理の出来ていない企業は今後生き残れない、そのくらい大きなリスクになってきていると日々実感しています。

最近のトピックスを挙げるとすれば、やはり「36協定違反」に関してでしょうか。最近もとある企業からの要請を受け、「リスク管理」の一環として36協定を中心とした法律の基本的な概要をレクチャーする研修を実施してきました。大企業と異なり、36協定という基本的な内容に関しても知る機会が無い中小企業も少なくありません。

簡単におさらいですが、労働基準法では原則時間外労働や休日労働は認められておらず、例外的に労使協定を結ぶことにより、法律が定める上限時間内でのみ時間外労働及び休日労働が認められます(労働基準法36条、いわゆる「サブロク協定」)。特別条項で定める場合を除き、通常は上限時間を超えて残業をさせることはできず、超えてしまった場合は労働基準法36条違反となり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。この点、36協定を結んでいればいくらでも残業させてよいという認識の企業がありますが、これが問題です。厚労省の調査でも、36協定違反による是正指導が多くの企業で行われています。
最近有名になったところでは「ドンキホーテ」や「ABCマート」が、36協定を超える時間外労働を長期間に亘ってさせていたとして、書類送検されました(この件にも厚労省の「かとく」が関わったとされています)。ニュースにもなったので覚えている方もいるかもしれません。ただ、この2件は非常に悪質なケースであったため送検に至った(是正勧告を無視し続けていた)レアケースであり、通常は是正勧告が行なわれた段階で改善をしていけば送検にまで至ることはありません。少し前であれば未払い残業で問題になることはあっても、残業代を払っているのに法律違反で指導されるケースというのはあまり表に出ていませんでした。このあたりは中小企業では特に意識が弱いというか、対策が手薄なところです。
よくあるケースではそもそも36協定を締結していなかったり、締結していても労働基準監督署に届け出をしていなかったり、そもそも前提が整っていないケースも見受けられますので、注意が必要です。あるいは、どうしても法律の定める上限時間内に残業が収められないというケースもあるでしょうから、そうした場合は同じく法律の定める「特別条項付き36協定」を労使で締結するようにしてください。これは年6回までを目安として、法律の定める上限時間を超えて残業をさせることができるようになる仕組みで、法律が認めているのですから使わない手はありません。尚、特別条項を定めた場合の残業時間には上限設定の規定がありません。ただ、だからといって100時間単位とか、無茶な残業を強いるようなことは厳に回避すべきです。健康上の問題がありますし、過労死に至れば労災認定されるリスクも大きいからです。改めて、自社の36協定の締結状況がどうなっているか、確認されることを強くお勧めします。併せて、特に複数店舗を展開している小売・サービス業では各店舗ごとに36協定を超える時間外労働が違法に行われていないか、実績確認が必要でしょう。もし違反が発見された場合には店舗責任者に対する指導を徹底するようにしてください。

※36協定に関する情報はこちらも参考にしてください。
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/36_kyoutei.html

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。