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東芝で発生する割増退職金と再就職支援

2016年01月01日 カテゴリ:人事制度

執筆者:山口 俊一

人事戦略研究所 所長

人事コンサルティング、講演、執筆活動を中心に活躍している。職種別人事をベースにした独自の発想と企業の実状に沿った指導により全国からコンサルティング依頼を受け、定評を得ている。現在までに中小企業から一部上場企業まで、200社以上のコンサルティング実績を持つ。主なコンサルティングテーマは人事評価・賃金制度の構築、組織運営など。

東芝は収益改善策の一環として、2015年末に、家電部門と本社の管理部門で、併せて約7800人の人員削減を行うと発表しました。

その具体的方法は、東芝発表のIR資料「コーポレート部門における早期退職優遇制度等の人員対策の実施について」から抜粋してみると、以下のようになっています。


  原則として満40歳以上かつ勤続10年以上の者について早期退職優遇制度を適用します。
  早期退職の場合の優遇措置として、通常の退職金に特別退職金を加算して支給し、
  希望者に対し再就職支援を行うことを予定しています。
  早期退職優遇制度の実施に伴い発生する費用は、今後の募集状況等を踏まえて精査し、
  まとまり次第開示いたします。


さて、ここで人員削減策として挙げられている「特別退職金(割増退職金)」と「再就職支援」について考えてみましょう。

割増退職金は、退職時の退職金(会社都合扱いにするか、自己都合扱いにするかは会社によって異なる)に加えて、追加で支払われる加算金です。発表時点で東芝は「今後の募集状況等を踏まえて精査」するということですので、その水準については明らかにしていません。そこで、先に人員削減を実施したシャープの2015年8月のIR資料「希望退職の募集の結果及び特別損失の計上に関するお知らせ」から抜粋してみると、次のようになります。


  希望退職者数 3,234人(有期雇用社員を含む)
  希望退職の募集に伴い発生する費用は、約243億円であり、...。


3,234人に対して243億円ということですので、発生費用は1人当たり約750万円。発生費用の内訳は、おそらく割増退職金と再就職支援費用と推測されます。
再就職支援はアウトプレースメントともいわれ、登録された人材に対して、再就職先が決まるまで、候補企業の紹介から面接時のアドバイスなどの支援を行うサービスです。企業収益が悪い時期に需要が増加する、景気と逆相関にある業界といえます。事実、ここ2年ほどは、依頼数が減少傾向にありました。
このアウトプレースメントの費用ですが、以前は1人につき100万円以上が相場という時代がありました。しかし、近年では価格競争激化により、50万円程度というケースも増えてきたようです。この費用は、人員削減を行う側の企業が100%負担し、再就職先の企業負担は一切発生しません。

シャープのケースでは、仮に再就職支援の費用が1人当たり50万円とすると、750万円-50万円=700万円が平均の割増退職金額ということになります。
東芝の場合は、もともとシャープよりも年収水準の高い会社でしたので、おそらく1人当たりの割増退職金は800~1,000万円程度が予想されます。
この金額は、公表されている平均年収とほぼ一致しますので、会社としては1人を削減するために1年分の年収を余分に支払うことを意味します。 ただし、これは大企業の話です。中小企業においては、早期退職の際にも割増退職金は、ごく少額か、全く支給されないケースもあります。やはり、退職時にも、中小企業に比べれば、大企業は恵まれていると言えるでしょう。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。