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役員報酬のあり方を考える

2014年10月18日 カテゴリ:人事制度

執筆者:山口 俊一

人事戦略研究所 所長

人事コンサルティング、講演、執筆活動を中心に活躍している。職種別人事をベースにした独自の発想と企業の実状に沿った指導により全国からコンサルティング依頼を受け、定評を得ている。現在までに中小企業から一部上場企業まで、200社以上のコンサルティング実績を持つ。主なコンサルティングテーマは人事評価・賃金制度の構築、組織運営など。

今回は、役員報酬について考えてみましょう。
労務行政研究所の2013年調査によると、常勤役員の年間報酬平均は、

          1,000人以上企業   300~999人企業   300人未満企業
 社長        5,643万円       4,043万円       4,112万円
 専務        3,367万円       2,648万円       3,197万円
 常務        2,690万円       2,075万円       1,752万円
 兼務取締役    1,920万円       1,672万円       1,276万円

となっており、300~999人より300人未満の企業の方が、社長と専務の報酬が高い以外は、企業規模別・職位別に金額が並んでいます。従業員300人未満といっても、株式公開企業が中心の調査ですので、平均的な中小企業よりは高めの値となっています。

では、そもそも役員報酬とは、どのような要素によって決められるべきなのでしょうか。

上記調査のように、会社の規模は、影響度(売上や部下人数)の大きさという観点から重要でしょう。また、専務や常務といった役位は、社内的な責任や権限の大きさという観点から、分かりやすい要素です。問題は、業績をどのように反映するか。短期業績だけを反映すると目先の利益確保だけに目が向き、将来的な投資をしなくなってしまうかもしれません。

化粧品メーカーの資生堂は、投資家向けに、役員報酬に関する情報を以下のように公表しています。

  ・取締役と執行役員の報酬は、固定報酬と業績連動報酬から構成
  ・役位が上位ほど、業績連動報酬の割合を高く設計
  ・役員報酬に占める業績評価部分は、業績目標達成時で60%程度に設計
  ・毎年の連結業績(売上高、営業利益率、純利益の達成度)および、各人の担当事業業績と個人考課による「賞与」
  ・3カ年計画の業績目標達成に応じた「中期インセンティブ型報酬としての金銭報酬」
  ・株主との利益意識共有と主眼とした「長期インセンティブとしての株式報酬型ストックオプション」
                                         (株価によって受け取れる金額が変動)


(株式公開予定もない)非上場企業の場合、株式ストックオプションという手段は現実的ではありません。ただし、役員の貢献度を測る観点として、「長期貢献」「中期貢献」「短期貢献」に分けて報酬反映することは、理に叶っていると言えるでしょう。

中小企業の多くは、社員に対する人事評価は行っていても、役員に対する業績や役割遂行評価を明確にしていません。また、「役員として長期間登用されること」が中長期インセンティブとして機能している面もあります。しかし、それでは会社の将来にとって必要なチャレンジを行わず、大過なく日々の業務をこなすことを重視するような、保守的な役員が生まれやすくなるかもしれません。

経営者の方々には、自社の役員評価や報酬の方針について、再度考えていただければと思います。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。