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賃金設計講座(2) 諸手当の設計について③

2012年03月21日 カテゴリ:賃金制度

執筆者:岩下 広文

人事戦略研究所 コンサルタント

大学卒業後、国内事業会社において人事・総務等の実務に従事。その後、人事アウトソーシング会社、及び、外資系大手コンサルティングファーム(※監査法人系)にて人事コンサルティング業務に従事した後、現職。人事評価・賃金制度構築や退職金制度設計だけでなく、組織・人事面における幅広いテーマでのコンサルティング経験を有する。人事の実務経験を活かした運用性の高い制度設計に定評がある。

前回のブログでは、日本企業の賃金制度における諸手当の分類について述べた。今回のブログでは、諸手当の設計に際して重要なポイントとなる「支給要件」と「支給水準」について解説していくこととする。

諸手当における「支給要件」

諸手当の場合、基本給とは異なり、すべての社員に一律に支給されるということケースは少ない。従って、どのような条件を満たした場合に手当を支給するのか、というルールが必要になる。これが、諸手当における「支給要件」のことである。当然に、手当の項目ごとに支給要件は設定することになる。
この「支給要件」は、手当の支給目的や支給背景、会社の賃金ポリシーなどによって決定することになる。例えば、家族手当であれば、"昨今の少子化傾向を踏まえて会社として育児面の福利厚生を充実したい・・・"ということであれば、支給対象となる子供の範囲(年齢・人数など)は広く設定されることになるであろう。逆に、家族手当という支給項目は設定するものの、賃金における属人的手当のウェイトはあまり高くしたくないという賃金ポリシーがある場合には、支給対象の範囲は狭くなるであろう。

給与の設計ではとかく「水準面」に意識が行きがちではあるが、手当の場合にはこの「支給要件」をどのように設計するかによって、人件費へのインパクトが変わってくるので注意が必要である。手当の水準を低めに設定していても、支給要件が緩やかに設定されていれば、当該手当の支給対象者は多くなり、結果として人件費が想定以上に膨らむ恐れがあるということである。

諸手当における「支給水準」

その名の通り、手当ごとの支給額をどの程度に設定するのかということである。この「支給水準」の設定にあたっては、2つの観点がある。

一つ目の観点は、「世間水準」である。人事・労務系の様々な調査機関や専門誌において、手当関連の世間水準が調査・発表されている。このようなデータを参考にしながら、手当ごとに目安となる支給水準を把握することになる。但し、注意点は、世間水準だけを判断材料として、新設手当の支給水準を設定したり、現行の支給水準の妥当性を判断したりしないことである。これは、次に述べる「給与の構成割合」も併せて考えなければならないからである。

二つ目の観点が、その「構成割合」である。例えば、他社と比較して、給与全体に占める基本給の割合を高めに設定している場合は、手当自体の支給水準は低めに設定する方向になる。基本給のウェイトが高いのに、手当の支給額を世間水準並みに設定してしまうと、給与全体で見ると世間水準を上回ることになりかねないので、注意が必要である。大切なのは、昇格モデルに従って給与全体での支給水準カーブを描き、その中で手当の支給水準も決めていくということである。

次回(以降)のブログでは、個別の具体的な手当ごとに、設計のポイントや留意点などについて解説をしていきたいと思う。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。