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賃金設計講座(1) 基本給の設計について④

2011年02月15日 カテゴリ:賃金制度

執筆者:岩下 広文

人事戦略研究所 コンサルタント

大学卒業後、国内事業会社において人事・総務等の実務に従事。その後、人事アウトソーシング会社、及び、外資系大手コンサルティングファーム(※監査法人系)にて人事コンサルティング業務に従事した後、現職。人事評価・賃金制度構築や退職金制度設計だけでなく、組織・人事面における幅広いテーマでのコンサルティング経験を有する。人事の実務経験を活かした運用性の高い制度設計に定評がある。

④ 昇給の仕組み

等級ごとのレンジ幅(上限額/下限額)が決まると、次に決めるべきことは「レンジ幅の中でどのように昇給させていくか」という点である。従来型の年功賃金であれば、年齢や勤続年数、評価の結果に応じて積み上げ方式で昇給していく仕組みが殆どであったが、昨今では人件費コントロールを意識した様々な昇給システムが採用されている。
また、かつては「賃金改定=昇給」というのがお決まりパターンであったが、これについても昨今では「賃金改定=昇給orステイor降給」という流れに変わりつつある。要は、毎年自動的に全社員の給与を引き上げるような仕組みは維持できないということである。 以下では、代表的な3つの給与改定システムについて、それぞれの特徴を述べていくこととする。

【1.積み上げ方式】
これは、いわゆる従来型の昇給システムのことを指す。具体的には、年齢や勤続年数に応じて自動的に固定額が昇給していくパターンと、評価結果に応じて昇給額が異なるパターンの2つがある。前者は年齢給や勤続給などの場合、後者は職能給の場合が多い。
毎月の給与を安定的に昇給させていくことは社員のモチベーション維持や帰属意識の向上につながるため、今後もこの「積み上げ方式」が給与改定システムの主になるであろう。但し、適切な人件費配分やコントロールを実現させるためには、少なくとも評価結果に応じて昇給額に変化をつける仕組みにすべきである。すなわち、年齢給や勤続給のような自動昇給システムについては、廃止をするかもしくはその割合を低くすることが望ましい。

【2.メリット給方式】
これは、積み上げ方式の変形タイプである。同一等級/同一評価であっても、基本給レンジ内の金額位置によって昇給額が異なるという仕組みである。さらには、基本給レンジ内のある一定金額(※一般的にはポリシーライン)を超えると、評価によっては降給になるように設計するケースもある。
この仕組みの特徴は、同じ等級に滞留し続けた場合には、同じ評価を取り続けても昇給額が下がっていく点である。標準滞留年数を超えても上位等級に昇格できない社員の昇給額を抑えることができるため、人件費コントロールの観点からは積み上げ方式よりも優れた仕組みであると言える。

【3.洗い替え方式】
その名の通り、毎年の評価結果に応じて基本給の金額が大きく変動する仕組みである。一般的には、評価ランクごとに基本給の金額が固定的に設定されている。"定期昇給"という概念とは全く異なる給与改定システムであると言える。営業職などの成果給や業績給として採用されるケースが多い。
営業職のように個人ごとのインセンティブが重視される職種や、組織業績の達成に向けて強いコミットメントが求められる管理職には、このような洗い替え方式の給与改定システムはフィットするかもしれない。しかしながら、それ以外の職種や階層に導入するのはかなりハードルが高いと言えるだろう。

次回(以降)のブログでは、月例給与における諸手当について解説したいと思う。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。