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コーチングを実践しよう③ ~提案~

2010年11月17日 カテゴリ:教育・能力開発

執筆者:川北 智奈美

人事戦略研究所 コンサルタント

飲食・ホテル業界での経験を活かし、現場のモチベーションをテーマにした組織開発を中心にコンサルティング活動を展開中。トップと現場の一体化を実現するためのビジョンマネジメント、現場のやる気を高める人事・賃金システム構築など、「現場の活性化」に主眼をおいた組織改革を行っている。特に「サービスは心から」をテーマに現場スタッフのサービスマインドを高める教育システム構築に力を入れている。 ICF(国際コーチ連盟)認定プロフェッショナルコーチ

コーチングを実践していくと、どうしてもある問題にぶつかります。
それはビジネスシーンにおける「質問」の限界です。
コーチングの初級研修をした後の管理者の方から、よく次のような意見や感想を頂戴します。
「こちらから何も言わずに質問をして答えを待っていると、時間がかかりすぎる」 「適正な問題解決方法に導けない」

これは、「コーチングは、質問をして相手の中にある答えを導き出す」という原則に忠実に従って、活用・実践されている管理者の方々からの切実な声です。
上司から見れば「答えは明らかだ」あるいは「こうすれば結果が出やすい」などと思っている問題でも、経験の少ない部下にしてみれば、全く見えていないこともあるでしょう。
そこで、答えの出てこない部下に対して、上司が考えた解決方法などに質問でうまく「誘導」しようとして、苦しいコーチングをされる方があります。一歩間違えると「誘導尋問」に陥ってしまいます。

そんな時には、「提案する」という方法があります。
 「例えば、○○をやるっていうのはどう?」と、率直に上司から提案をします。

但し、この提案をするには、守ってもらいたい原則が二つあります。
一つは、必ず部下の同意を得てから提案することです。「ひとつ私から提案してもいいかな?」と言って、部下の了解を得て下さい。というのも、部下は一生懸命考えている最中ですから、そこを尊重してあげましょう。
 二つ目は、言葉を言い放った後のことです。部下の表情をよく観察して下さい。もし部下が「なるほど、それはいいなぁ!」と感じていたら、表情に表れます。もし「あまり気が進まないな」と思っていれば、目が節目がちだったり、ためらった様子が伺えます。その時に無理にその提案を押し付けないことです。
 コーチングは、相手の中にある答えを引き出すことが大事ですが、なぜそうするのか?という原則に立ち返ると、それは、他者からの説得ではなく、自己説得、つまり自分の考え、人から押し付けられたものでない答え・課題解決策が、その行動へ向かう意欲やモチベーションの持続につながるからです。"無理やり押し付けられた"と感じるものであっては、意味がありません。
 そこで、部下の表情をよく観察しながら、「ピン」ときていないなぁ、と感じたら、「もしあまりピンと来ていないなら、違う方法でもいいよ、何かある?」と伝えてみて下さい。
すると、上司からの提案に刺激を受けて、部下の考えが活性化され、新しいアイディアが浮かんでくるかも知れません。「自分のこだわり」を横において、部下の言葉に耳を傾けてみて下さい。

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※コラムは執筆者の個人的見解であり、人事戦略研究所の公式見解を示すものではありません。